真核細胞内で初の窒素固定小器官を発見
サイエンス出版部 発行書籍
真核細胞内で窒素を固定できる小器官が発見されたというニュースに驚きを感じませんか?現代の生物学の常識を覆すこの発見は、農業や生態系への新たな可能性を開くかもしれません。 現代の生物学教科書では、大気中の窒素を生命が利用可能な形に変換できるのはバクテリアのみとされています。窒素を固定する植物(例えばマメ科)は、根粒に共生するバクテリアを利用してこの能力を得ています。しかし、最近の発見はこの常識を覆すものです。国際的な科学者チームが、真核細胞内で初めて発見された窒素固定性オルガネラについてCellとScienceに発表しました。このオルガネラは、原核細胞が真核細胞に取り込まれ、共生を超えてオルガネラに進化する過程である一次共生の4番目の例です。 「このようなオルガネラが生まれるのは非常に稀です」と、カリフォルニア大学サンタクルーズ校の博士研究員であるタイラー・コール博士(Tyler Coale, PhD)は語ります。「最初にこれが起きた時、それが全ての複雑な生命の起源となりました。バクテリア細胞よりも複雑なものは全てこの出来事に由来します」と、ミトコンドリアの起源に言及して説明しています。「約10億年前には、これが再び起こり、植物をもたらしました」とコール博士は続けました。 3つ目の既知の例は、葉緑体に似た微生物に関わるものでした。今回の新発見は、窒素固定能を持つオルガネラの初めての例であり、研究者らはこれを「ニトロプラスト(nitroplast)」と名付けました。 数十年にわたる謎 このオルガネラの発見は、少しの運と数十年にわたる研究の成果でした。1998年、カリフォルニア大学サンタクルーズ校の海洋科学名誉教授であるジョナサン・ツェアー(Jonathan Zehr)は、太平洋の海水中に未知の窒素固定性シアノバクテリアからのものと思われる短いDNA配列を発見しまし
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