転写因子の新たな役割:植物発生を制御するSTARTドメインの秘密

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転写因子が植物の発生を制御する驚くべき仕組みを解明 ペンシルベニア大学芸術科学部(University of Pennsylvania School of Arts & Sciences)のアマン・ハズバンズ博士(Aman Husbands, PhD)が率いる研究チームは、転写因子(TF: transcription factors)—すなわち遺伝子のスイッチとなる分子—が植物の発生をどのように制御するのか、その驚くべき仕組みを明らかにしました。植物やヒトを含む複雑な多細胞生物の中には、建設現場における設計図、道具、専門職人に相当する遺伝的要素が存在します。植物生物学者であるハズバンズ博士は、HD-ZIPIII 転写因子ファミリー(HD-ZIPIII transcription factors)と呼ばれる「熟練した下請業者」の働きを研究しています。これらの因子は、発生の過程でどの遺伝子を活性化し、どのような植物の形や機能を作り上げるかを決定する役割を担っています。例えば、植物の維管束系(ヒトでいう血管系に相当)や、根や葉の形状といった構造的要素を形成する際に重要な役割を果たします。 興味深いことに、HD-ZIPIIIファミリーの転写因子は、同じ遺伝子セットを共有し、同じ道具(タンパク質複合体など)を使用できるにもかかわらず、それぞれ独自の方法でこれらを解釈し、使用します。例えば、CORONA(CNA)やPHABULOSA(PHB)といった転写因子は、類似した機能を持ちながらも、異なる発生的な結果をもたらします。 「では、最も重要な疑問は何かというと、『なぜ異なる機能的結果が生じるのか?』ということです」とハズバンズ博士は語ります。 STARTドメインが異なる機能を生み出す仕組み 2024年11月14日に『Nature Communications』誌に
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