チョウとガの翅の色を決める遺伝子スイッチ—新発見のmiRNA mir-193 の役割

サイエンス出版部 発行書籍
チョウ目昆虫(Lepidopterans:チョウとガ)の翅(はね)の色彩パターンは多様性に富んでおり、多くの種ではメラニンの有無に関連した黒白または暗色と明色の変異が見られます。これらの翅の色彩パターンの変異は、自然選択と進化の代表的な例として広く知られています。象徴的な例としては、19世紀後半のイギリスにおける工業化と石炭燃焼による環境の煤煙化に適応し、黒化型の出現頻度が急増したイギリスのシロモンヤガ (Biston betularia) や、Heliconius 属のチョウに見られる擬態的な多様化などが挙げられます。これらのチョウ目昆虫におけるメラニンの有無を左右する生態学的要因はよく研究されていますが、色彩変化の遺伝的・発生的なメカニズムについては、これまで不明な点が多く残されていました。 チョウとガはどのようにして翅を黒く、または白く染めるのか? 過去20年間の研究により、メラニンによる翅の色彩変異の多くが、タンパク質をコードする遺伝子「cortex」を含む特定のゲノム領域によって制御されていることが明らかになりました。このことから、cortex 遺伝子がメラニン色素のスイッチであると考えられてきました。しかし、シンガポール、日本、アメリカの国際研究チームは、この仮説を覆す新たな発見をしました。 シンガポール国立大学(National University of Singapore: NUS)生物科学部のアントニア・モンテイロ教授(Antónia Monteiro)とシェン・ティエン博士(Shen Tian, PhD)率いる研究チームは、cortex 遺伝子自体がメラニン色素のスイッチではないことを突き止めました。実際の色彩スイッチは、これまで見過ごされていたマイクロRNA(microRNA: miRNA)であることが判明したのです。 この研究成果は、2
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