合成遺伝子で生体材料を自在に構築:医療とバイオテクノロジーへの新たな道を開く

カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)サミュエリ工学部とイタリアのローマ・トル・ヴェルガタ大学の研究者たちは、細胞内の遺伝子のように機能する合成遺伝子を開発しました。この合成遺伝子は、自己組織化する構造体を段階的に構築し、必要に応じて分解することも可能です。この技術は、家具をモジュール式ユニットで組み立てる手法に似ており、同じ部品を用いて多様な構造を作り直すことができます。この発見は、DNAタイルで構成されたナノスケールのチューブなど、複雑な生体分子材料を設計・再設計するための基盤を提供します。

研究成果は2024年10月3日付で科学誌Nature Communicationsに掲載され、論文タイトルは「Developmental Assembly of Multi-Component Polymer Systems Through Interconnected Synthetic Gene Networks in Vitro(合成遺伝子ネットワークを介した多成分高分子システムの発生的組み立て)」です。UCLAサミュエリ工学部のエリサ・フランコ教授(Elisa Franco, PhD)が研究を主導し、彼女の研究室のポスドクであるダニエラ・ソレンティーノ(Daniela Sorrentino)が第一著者を務めました。

自己組織化を可能にする遺伝子ネットワーク

研究者たちは、合成DNAストランドから構成されるDNAタイルを用い、特定のRNAトリガー分子が存在する場合にのみ相互作用して、ミクロンスケールのチューブ状構造を形成する仕組みを構築しました。また、別のRNAトリガー分子を用いることで、同じ構造を解体することも可能です。

さらに、研究チームは合成遺伝子をプログラムし、これらのRNAトリガーを特定のタイミングで生成させることで、DNA構造の形成と解体を精密に制御しました。これにより、構造体の形成時間や分解、さらには特定の構成特性を制御する「合成遺伝子カスケード」を作り上げました。このカスケードは、ショウジョウバエの体節形成を制御する遺伝子カスケードと類似しています。

応用可能性と未来展望

このアプローチは、DNA構造に限定されず、バイオケミカルシグナルのタイミングに依存する他の材料やシステムにも応用可能です。「同じ部品に異なる機能を割り当てることで、同一の材料から自発的に進化する構造体を作成できます。これにより、合成生物学に新たな進歩がもたらされ、医療やバイオテクノロジーにおける新しい応用の道が開かれます」とソレンティーノは述べています。

写真:エリサ・フランコ教授(Elisa Franco, PhD)

[UCLA news release] [Nature Communications article]

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