植物はどうやって光の方向を決めるのか?
サイエンス出版部 発行書籍
植物には視覚器官がないのに、どうやって光の来る方向を知るのでしょうか?生物学と工学の専門知識を組み合わせた画期的な研究で、ローザンヌ大学(UNIL)のクリスチャン・ファンクハウザー教授(Christian Fankhauser)が率いるチームは、ローザンヌ連邦工科大学(EPFL)の同僚と共に、光感受性植物組織が空気と水の境界の光学的特性を利用して、植物に「見える」光の勾配を生成することを明らかにしました。 この結果は、2023年11月23日にScience誌に掲載されました。論文のタイトルは「空気チャンネルが定向性光信号を生成して子葉下部の向光性を調節する」(Air Channels Create a Directional Light Signal to Regulate Hypocotyl Phototropism)です。 生物の大多数(微生物、植物、動物)は、目に相当する視覚器官がなくても、光源の発生地を特定する能力を持っています。この情報は、自分自身を方向付けたり、環境内での最適な位置を決定するために非常に価値があります。特に植物にとって、光がどこから来ているかを知ることは重要で、この情報を使って、光合成の過程で化学エネルギーに変換する太陽光をより多く捕獲するために、自分たちの器官を位置付けます。これは、私たちが食べるほぼ全ての食料の生産に必要な、不可欠な過程です。 向光性を開始する光受容体は以前から知られていましたが、光感受性植物組織の光学的特性は、これまで謎でした。Science誌に掲載された多分野にわたる研究では、UNILの統合ゲノミクスセンターのディレクターで生物医学部教授でもあるクリスチャン・ファンクハウザー博士(Christian Fankhauser ,PhD)、EPFLのソーラーエネルギーおよび建築物理研究所の太陽光エネルギー変換ナノテクノ
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