進化の成功は共存にあり?昆虫を分け合う真菌の驚くべき戦略

進化の成功は共存にあり?昆虫を分け合う真菌の驚くべき戦略

サイエンス出版部 発行書籍

昆虫を分け合う病原菌:競争より共存で進化の成功を収めた真菌 メリーランド大学の昆虫学者らが、昆虫に侵入し、寄生し、効率的に殺すことで知られる2種の真菌が、資源を巡って争うのではなく、平和的に共存しながら被害者を分け合う独特の関係を発見しました。この研究成果は、2024年11月7日にPLoS Pathogensに掲載され、論文タイトルは「Metarhizium Fight Club: Within-Host Competitive Exclusion and Resource Partitioning(メタリジウム・ファイトクラブ:宿主内競争的排除と資源分配)」です。 研究を主導したのは、メリーランド大学の昆虫学の著名教授であるレイモンド・セント・レジャー博士(Raymond St. Leger, PhD)と、昆虫学博士課程の学生であるシン・フイユ(Huiyu Sheng)氏です。 進化の成功:競争ではなく分配 「自然界の進化的成功において、必ずしも強者が生き残るわけではありません。時には『共存できる者』が生き残ることもあります」とセント・レジャー博士は述べています。今回の研究で明らかになったのは、これらの真菌が互いを排除するのではなく、洗練された共存の方法を進化させてきたという事実です。 研究対象となったのは、Metarhizium 属の2種の真菌で、この属の真菌は世界中の土壌に存在します。この真菌群は植物を乾燥や栄養不足といった非生物的ストレスや害虫から守る役割を果たしており、「キーストーン種」とも呼ばれます。そのため、今回の発見は、この真菌群が生態系で成功を収めている理由の一端を説明するものとされています。 研究の方法と発見 研究チームは、蛍光タンパク質を利用して真菌を赤や緑に発光させる先進的なイメージング技術を駆使し、真菌が昆虫に侵入・感染し、体内で

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Edited by Michael D. O'Neill

Michael D. O'Neill

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