学習や薬物乱用などの経験が脳の行動に遺伝的痕跡 - Neuroscience 2013

学習や薬物乱用などの経験が脳の行動に遺伝的痕跡 - Neuroscience 2013

サイエンス出版部 発行書籍

2013年11月11日付で発表されたヒトと動物を対象にした研究の新しい報告論文で、経験が遺伝子に影響を与え、その遺伝子が行動や健康状態にも影響することを突き止めている。この研究論文は、Society for Neuroscience2013年次総会でもあり、脳科学と健康に関する世界最大のニュース源でもあるNeuroscience 2013 総会の場での記者会見で発表されたもので、経験が薬物中毒や記憶形成といった脳行動に長期的な変化をもたらす機序に光を当てている。   サンディエゴで開かれたこの総会には3万人の研究者が出席した。Society of Neuroscienceが主催したこの記者会見で発表された、ヒトを対象にした新研究によれば、長年のヘロインの乱用で遺伝子の発現や脳の機能が変化を受ける可能性がある。この研究では、後天的な環境や経験がDNAそのものには変化を及ぼすことなく、遺伝子をオン/オフすることができるエピジェネティクスの分野に焦点を合わせている。 このような変化でも正常な発育や記憶といった脳の働きに悪影響を与え、さらに抑鬱、薬物依存その他の精神疾患を次の世代に遺伝させることが可能性として浮かんでいる。世界保健機関によれば、ヘロイン乱用者は世界中に950万人を数え、その死亡率は非乱用者比較で20倍から30倍にもなる。論文の首席著者で、ニューヨークのIcahn School of Medicine at Mount Sinaiに勤めるYasmin Hurd, Ph.D.は、「通常ヘロイン中毒者の脳を直接調べることはできないため、中毒者の死後解剖で脳を分析した私たちの研究は、ヘロイン中毒に関するこれまでの知識の不足を補うものになっている。研究成果から、長期的なヘロイン乱用で人の脳がどのように変化するか、その重要な部分を明らかにしており、またヘロイン中毒という危

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Edited by Michael D. O'Neill

Michael D. O'Neill

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