緑内障治療薬が認知症治療の鍵に:メタゾラミドがタウ蛋白を抑制する仕組みを解明

緑内障治療薬が認知症治療の鍵に:メタゾラミドがタウ蛋白を抑制する仕組みを解明

サイエンス出版部 発行書籍

グラウコーマ治療薬がアルツハイマー病を含む認知症の新たな治療法に:メタゾラミドがタウ蛋白蓄積を抑制する可能性 グラウコーマ(緑内障)治療薬として広く使用されているメタゾラミドが、認知症やアルツハイマー病に関与する脳内のタウ蛋白蓄積を防ぐ可能性があることが、イギリスのケンブリッジ大学認知症研究所による新たな研究で示されました。この研究では、遺伝子操作を施したゼブラフィッシュやマウスモデルを用いて、メタゾラミドを含む炭酸脱水酵素阻害剤がタウ蛋白の蓄積を抑制し、疾患の進行を軽減する効果が明らかになりました。研究結果は、2024年10月31日に「Nature Chemical Biology」に公開されました。論文のタイトルは「Carbonic Anhydrase Inhibition Ameliorates Tau Toxicity Via Enhanced Tau Secretion(炭酸脱水酵素阻害によるタウ毒性の緩和:タウ分泌の促進を介して)」です。 タウオパチーと疾患背景 タウオパチーとは、神経細胞内にタウ蛋白の「凝集体」が蓄積することで進行する神経変性疾患の総称です。これには、認知症、ピック病、進行性核上性麻痺などの疾患が含まれます。また、アルツハイマー病や慢性外傷性脳症(CTE:頭部外傷の繰り返しにより発症する神経変性、例としてフットボールやラグビー選手の報告あり)でもタウ蛋白の蓄積が見られます。これらの疾患の治療において、効果的な薬剤の開発は進んでおらず、新たな治療法の探索が急務とされています。特に既存薬の再利用(リポジショニング)は、治療薬開発のスピードを加速させる有望な戦略とされています。 ゼブラフィッシュを活用した大規模スクリーニング 研究チームは、人間のタウオパチーを模倣するよう遺伝子操作を施したゼブラフィッシュを用い、1,437種類の既存薬を

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Edited by Michael D. O'Neill

Michael D. O'Neill

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