伝統生薬ベニバナの力!サフラワー黄色素が心臓病を多角的に治療するメカニズム
古くから染料や生薬として親しまれてきた「ベニバナ」。その鮮やかな黄色い色素に、現代人の命を脅かす心臓病を治療する驚くべき力が秘められていることが、最新の研究で明らかになりつつあります。伝統医学の知恵が、科学の力でどのように解き明かされ、未来の医療を切り拓くのか。その最前線に迫ります。アテローム性動脈硬化による心筋虚血を特徴とする冠状動脈性心疾患は、中国において依然として主要な死亡原因です。ベニバナ(学名: Carthamus tinctorius L.)の主要な生理活性成分であるサフラワー黄色素(SYPs: Safflower yellow pigments)は、主にキノカルコンC-グリコシドから構成され、ヒドロキシサフロル黄色素A(HSYA: hydroxysafflor yellow A)とアンヒドロサフロル黄色素B(AHSYB: anhydrosafflor yellow B)を主成分としています。 2025年6月に学術誌「Future Integrative Medicine」に掲載されたこの総説論文は、CHD管理におけるSYPsの作用機序、治療応用、そして将来の方向性に関するエビデンスを統合したものです。 化学組成と体内動態 SYPsは、HSYAやAHSYBを含む20以上の同定された化合物で構成されており、これらが心血管保護作用、抗炎症作用、抗酸化作用をもたらします。薬物動態学的研究によると、消化管での加水分解、低い膜透過性、肝臓での初回通過効果のため、経口での生物学的利用能は非常に低い(HSYA: 1.2%; AHSYB: 0.3%)ことが明らかになっています。HSYAは各臓器に広く分布し(腎臓 > 肝臓 > 肺 > 心臓)、代謝されて糞便(経口投与時)または尿(静脈内投与時)を介して排泄されます。 CHD治療におけるサ
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Edited by Michael D. O'Neill

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