レスベラトロルの活性に秘められたメカニズムの一端が解明された
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赤ワインや植物に含まれる化学成分であるレスベラトロルが有する健康増進に有効であるメカニズムが、米国NIHの研究チームによって明らかにされた。同チームが実証したのは、レスベラトロルが、老化に関与するタンパク質であるサーチュイン1を直接活性化しないものの、ホスホジエステラーゼ類(PDEs)と呼ばれる一連のタンパク質類を阻害するという事だ。PDEsは細胞のエネルギー授受に関与する酵素であるが、本発見によってレスベラトロルの生化学論議に決着がつき、レスベラトロルを利用した医薬品の開発に道が開けたということだ。この化学物質は、糖尿病や炎症や悪性腫瘍を治療する活性を有しているので、多くの製薬企業が注目してきた。 本研究結果は、2021年2月3日付けセル誌の記事に紹介された。「レスベラトロルは2型糖尿病、アルツハイマー、心疾患などの幅広い疾患に有効です。しかし、レスベラトロルを安全で有効な医薬品として開発する前に、それが細胞内でどのような機序を有しているかを理解する必要がありました。」とNIH国立心肺血液疾患研究所の肥満と老化研究センター長で、本研究を主宰するジェイ・H・チュン博士は語る。レスベラトロルがサーチュイン1を最初の標的とする、と示唆する報告もいくつか出ている。しかしチュン博士の研究チームは、AMPKと呼ばれるタンパク質が、レスベラトロルの活性化に必要である事を実証していたので、その考え方には懐疑的であった。本研究においては、レスベラトロル処理された細胞内の代謝活性が系統的に追跡解析され、薬効の観点からレスベラトロルが最初の標的とするのは、骨格筋に存在するPDE4であることが同定された。 PDE4の阻害を契機として、レスベラトロルは細胞内の一連のイベントを誘起するが、その一つが、間接的にサーチュイン1を活性化させる。レスベラトロルがPDEタンパクに吸着し阻害することを確認
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