キャッサバによる麻痺性疾患『コンゾ』の感受性に、腸内細菌叢が影響を与える可能性が発見された

キャッサバによる麻痺性疾患『コンゾ』の感受性に、腸内細菌叢が影響を与える可能性が発見された

サイエンス出版部 発行書籍

コンゴ民主共和国のコンゾ(konzo, 痙性不全対麻痺)多発地域の腸内細菌叢と遺伝子の違いが、加工の不十分なキャッサバを食べた後のシアン化物の放出に影響する可能性があることが、180人の子供を対象とした最近の研究で明らかになった。キャッサバは、開発途上国の5億人以上の人々の食料安全保障に関わる作物だ。リスクの高いコンゾ地域に住む子供らは、腸内のグルコシダーゼ(リナマラーゼ)微生物が多く、ロダナーゼ微生物が少ないことから、この病気に対する感受性が高く、防御力が低い可能性があると、国立小児病院(ワシントンDC)の研究者が中心となって、2021年9月10日にNature Communications誌のオンライン版で研究結果を発表した。このオープンアクセスの論文は、「コンゾの腸内細菌叢について(The Gut Microbiome in Konzo)」と題されている。 コンゾは、麻痺を伴う重篤で不可逆的な神経疾患だ。コンゾは、コンゴ民主共和国をはじめとする低所得国の必須作物であるキャッサバ(マニオックの根)の加工が不十分なものを食べた後に発症する。キャッサバには、シアノゲン化合物であるリナマリンが含まれている。グルコシダーゼ活性を持つ酵素は、デンプンを単糖に変換する一方で、リナマリンを分解し、体内にシアン化合物を放出する。 国立小児病院の遺伝医学研究センターのディレクターであるEric Vilain医学博士は、「誰がリスクを抱えているかを知ることで、キャッサバの加工方法を改善したり、食生活を多様化したりするなど、ターゲットを絞った介入が可能になるだろう」「別の介入方法としては、マイクロバイオームを修正して保護レベルを高めることが挙げられる。しかし、これは意図しない結果やその他の副作用をもたらす可能性のある難しい作業だ。」と述べている。 コンゾの罹患率と重症度の正確な生物学的

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Edited by Michael D. O'Neill

Michael D. O'Neill

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