ある研究チームが、ブロッコリに多く含まれている抗酸化物質が抗糖尿病物質でもあることを突き止めた。糖尿病患者を対象とした研究で、参加者にスルフォラファンを多く含むブロッコリ抽出物を食べさせたところ、血糖値が大幅に低下したということだ。スエーデンのUniversity of Gothenburg, Metabolic Physiology講師を務め、Lund University Diabetes Centreに所属するDr. Anders Rosengrenは、「これが既存の治療薬に対する貴重なサプリメントになる可能性がある」と述べている。


2017年6月14日付Science Translational Medicineに掲載された研究論文は、Sahlgrenska Academy、University of Gothenburg、Lund UniversityのFaculty of Medicineが共同で長年研究を続けてきた成果である。オープンアクセスとして掲載されたこの研究論文は、「Sulforaphane Reduces Hepatic Glucose Production and Improves Glucose Control in Patients with Type 2 Diabetes (スルフォラファンが2型糖尿病患者の肝糖産生を抑え、血糖抑制改善)」と題されている。

この研究の目的は、2型糖尿病の重大なメカニズムである肝臓のブドウ糖産生亢進を抑制する、新しい治療薬の発見にあった。標準的な治療薬のmetforminもまさしくその薬効を持っているが、消化器系の副作用を引き起こしやすく、また腎機能が甚だしく衰えている場合には投与できないため、この薬剤を使えない糖尿病患者も多い。

研究チームは、まず糖尿病患者の肝臓の遺伝子変化のマッピングから始めた。



マッピングの結果、50種の遺伝子が重要な役割を果たしていることを突き止めた。さらに、その50種の遺伝子に効果のある物質を探して多種の化学物質と照らし合わせ、多方面から2型糖尿病を治療することを考えた。コンピュータ解析法を用いて2,800種の化学物質を調べた結果、スルフォラファンがその目的にもっとも適していることが判明した。

スルフォラファンは抗酸化物質であり、これまでにもがんや炎症性疾患の治療薬として研究されたことはあったが、糖尿病治療薬として研究されたことはなかった。そこで研究チームは、食餌で糖尿病を発症させたラットやマウスを使って動物による細胞実験を行った。実験動物の血糖値は、スルフォラファン投与4週間で23%低下した。また、metforminを併用した動物では24%低下した。

Dr. Rosengrenは、「ブロッコリ抽出物からスルフォラファンを取り除いてみたところ、効果は消滅した。さらに、動物の肝臓の遺伝子を調べてみた結果、50種の主要遺伝子が望ましい方向に変化していた」と述べている。スルフォラファンが無害だということはすでに文献にもあり、患者を対象とする研究は約100人の患者で行っている。全員にmetforminを投与したが、それに加えて12週間にわたって毎朝スルフォラファンを投与したグループは、プラセボを与えたグループに比べてはるかに血糖値が低くなっていた。1日の投与量のスルフォラファンは、4kgないしは5kg (8.8ポンドから11ポンド) のブロッコリから抽出している。

今後2年以内に機能性食品製剤として市場に出す計画がある。そのための開発作業がLantmännenで行われている。Dr. Rosengrenは、「スルフォラファンは、2型糖尿病の中心的なメカニズムをターゲットにしており、副作用もかなり穏やかだ。機能性食品であれば、医薬よりも早く患者が利用することができるし、糖尿病では食事がもっとも肝腎ということを考えてもかなり興味深いアイデアだ」と述べている。

原著へのリンクは英語版をご覧ください:Broccoli Extract Improves Glucose Control in Type 2 Diabetes

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