出生時のDNAメチル化 (エピジェネティック) 変化が後の素行問題に影響か
サイエンス出版部 発行書籍
King's College LondonとUniversity of Bristolの研究チームの新研究によれば、耽溺的な性格や攻撃的な性格と関わる遺伝子に出産時に起きるエピジェネティックな変化が、児童の素行問題と関わっている可能性が示されている。イギリスでは、児童治療専門家に紹介状が送られるもっとも多い理由は、ケンカ、ウソ、盗みなどの素行問題 (Conduct problems : CP) であり、その損失は莫大である。 10歳未満で素行問題を引き起こす (早発性CPと呼ばれる) 児童は、生涯にわたる重大で慢性的な反社会的行動のリスクもはるかに高く、犯罪、福祉依存、医療ニーズなど大きな社会コストにつながる。素行問題には遺伝因子が大きく影響していることはよく知られており、問題を起こす児童と起こさない児童の違いの50%から80%程が遺伝因子によるものと考えられている。しかし、遺伝因子と環境的影響が、特に胎児の発育期において、どのようにからみあって成長後の素行問題リスクを高めるのかということについてはほとんど分かっていない。DNAメチル化で起きている変化は、遺伝子スイッチのオン・オフを決めるエピジェネティックなプロセスであり、それを理解することが成長後の素行問題の効果的な予防法を開発する手がかりになる可能性がある。2017年6月12日付Development & Psychopathologyオンライン版で発表されたこの研究論文は、BristolのAvon Longitudinal Study of Parents and Children (ALSPAC) のデータを用いて、出生時のDNAメチル化と4歳から13歳までの児童の素行問題との関連を調べている。また、研究チームはそれまで早発性の素行問題と関係があるとされていた妊婦の食生活、喫煙、飲酒、日常的なストレ
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