ノンコーディングDNAの重複が人間固有の特徴の進化に影響を与えていた可能性
サイエンス出版部 発行書籍
2017年10月18日、フロリダ州オーランドで開催された2017年American Society of Human Genetics (ASHG) 年次会議においてプレゼンテーションのあった研究によると、ヒト・ゲノム中のノンコーディングDNAの大きなセグメントが重複されてきたことが人間と他の霊長類との違いを生んだ可能性がある。調節塩基配列を含むこのような重複と人間の特徴と行動に及ぼすその影響を突き止めれば人間の疾患の遺伝的要因が説明できるようになる可能性がある。 この研究の報告を行ったPaulina Carmona-Mora, PhD、Megan Dennis, PhDや同僚研究者らUniversity of California, Davisの研究グループは、ヒト・ゲノムにはあっても他の霊長類やその他の動物に見られない、1,000塩基対以上の長さのDNAセグメントの反復というヒト固有の重複 (HSD) の履歴を調べた。また、その研究では、遺伝子コードを持たず、他の遺伝子の発現を調節するだけのHSD領域に注目した。 Dr. Dennisは、「このような調節エレメントが特別なものになっている理由は、これが同じ染色体中で周辺の遺伝子の発現に影響するだけでなく、同じゲノム中の他の部分にも影響することであり、ただ一つの重複が数多くの遺伝子に影響を与えることになるため、その効果が増幅されることになる」と述べている。さらに、重複したセグメントは98%以上が同一なため、それぞれを区別することは難しく、過去のゲノム解析では捨てられることも多かったと述べている。そのことから、研究グループは重複したセグメントを含んだヒトの基準ゲノムを新たに作ることを始めた。そうすることにより、他の遺伝子の発現を強化する調節エレメントのエンハンサーを含んでいそうな部分を特定し、器官や組織全体にわたって遺伝
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