自閉症の新たな原因解明!CPEB4タンパク質の欠損が神経発達に及ぼす影響とは?

自閉症の新たな原因解明!CPEB4タンパク質の欠損が神経発達に及ぼす影響とは?

サイエンス出版部 発行書籍

IRBバルセロナの研究が明らかにした、CPEB4タンパク質の欠損が神経発達に及ぼす影響 自閉症は、コミュニケーションや社会的行動に困難を伴う神経発達障害の一つであり、その原因の約20%は特定の遺伝子変異に起因するとされています。しかし、残り80%の「特発性自閉症」は、未だ明確な原因が解明されていません。このたび、バルセロナ生物医学研究所のラウル・メンデス博士(Raúl Méndez, PhD)およびシャビエル・サルバテリャ博士(Xavier Salvatella, PhD)が率いる研究チームは、神経タンパク質「CPEB4」の特定の変異が特発性自閉症に関連する分子メカニズムを解明しました。本研究は、2018年に発表された先行研究に基づいており、当時、CPEB4が自閉症関連の神経タンパク質を調節する重要な因子であることが判明していました。2018年の研究では、自閉症の個体においてCPEB4タンパク質の「微小エクソン」と呼ばれる小さな遺伝子セグメントが欠損していることが確認されました。そして今回、2024年12月4日付の『Nature』誌に掲載された研究により、この微小エクソンがCPEB4の凝集体(コンデンセート)の柔軟性を維持する役割を担っていることが明らかになりました。 このオープンアクセス論文は、「Mis-Splicing of a Neuronal Microexon Promotes CPEB4 Aggregation in ASD」(神経微小エクソンのスプライシング異常がCPEB4の凝集を促進し、自閉症に関与する)と題されています。 分子コンデンセートと遺伝子発現の調節 CPEB4タンパク質の微小エクソンを含む領域は、明確な三次元構造を持たないという特徴があります。このような無秩序な構造を持つタンパク質は、「コンデンセート」と呼ばれる細胞内の液滴状構

Life Science News from Around the Globe

Edited by Michael D. O'Neill

Michael D. O'Neill

バイオクイックニュースは、サイエンスライターとして30年以上の豊富な経験があるマイケルD. オニールによって発行されている独立系科学ニュースメディアです。世界中のバイオニュース(生命科学・医学研究の動向)をタイムリーにお届けします。バイオクイックニュースは、現在160カ国以上に読者がおり、2010年から6年連続で米国APEX Award for Publication Excellenceを受賞しました。
BioQuick is a trademark of Michael D. O'Neill

LinkedIn:Michael D. O'Neill