カリフォルニア大学デービス校とドイツのマックス・プランク発生生物学研究所、およびその共同研究機関による新しい研究が発表された。この研究成果は、1月12日付のNature誌に掲載され、進化に関する我々の理解を根本的に変えるものだ。また将来的には研究者がより優れた作物を育種したり、人間が癌と戦うのに役立つかもしれない。この論文は「シロイヌナズナの突然変異の偏りは自然淘汰を反映している(Mutation Bias Reflects Natural Selection in Arabidopsis thaliana)」と題されている。

突然変異は、DNAが損傷して修復されないまま放置され、新たな変異を生み出す時に起こる。この研究者らは、突然変異が純粋にランダムなものなのか、それとももっと深い意味があるのかを知りたかった。そしてその結果、予想外のことが判明した。

この論文の筆頭著者であるカリフォルニア大学デービス校植物科学科のGrey Monroe 助教授は、「我々は、突然変異は基本的にゲノム上でランダムに起こると考えていた」「突然変異は非常に非ランダムであり、植物に利益をもたらす方法で非ランダムであることがわかった。これは突然変異についての全く新しい考え方だ。」と語っている。

この研究者らは、3年間かけて、数百のシロイヌナズナのDNA配列を決定した。シロイヌナズナは、約1億2000万塩基対からなる比較的小さなゲノムを持っているので、「植物の中の実験用ネズミ」と考えられている小さな花を咲かす雑草だ。ヒトのゲノムが約30億塩基対であるのに対して、シロイヌナズナは約1億2千万塩基対と比較的小さい。

「遺伝学のモデル生物なのだ」とMonroe博士は述べた。

実験室で育てた植物から、さまざまなバリエーションが生まれる

マックス・プランク研究所では、自然界では生存できないような欠陥のある植物が、管理された空間で生存できるように、保護された研究室環境で標本を育てることから研究が始まった。

数百のシロイヌナズナの塩基配列を解析した結果、100万以上の変異があることが判明した。これらの変異の中には、予想に反して非ランダムなパターンがあることが明らかになった。

「一見したところ、我々が発見したものは、最初の突然変異は完全にランダムでありどの突然変異が生物に観察されるかは自然選択のみが決定する、という定説に反するように思われた。」と、マックスプランク研究所の科学ディレクターでこの研究の主執筆者のDetlef Weigel博士は語っている。そのパッチには、細胞増殖や遺伝子発現に関与するような必須遺伝子が過剰に存在していたのだ。

Monroe博士は、「これらの領域は、ゲノムの中で本当に重要な領域なのだ。」「生物学的に最も重要な領域は、突然変異から守られているようだ。」と語った。

その領域はまた、新たな突然変異の有害な影響にも敏感だ。「したがって、DNA損傷修復は、これらの領域で特に効果的に行われるようだ。」と、Weigel 博士は付け加えた。

植物は自らを守るために進化した

DNAがさまざまな種類のタンパク質に巻きついていることが、ある遺伝子が変異するかどうかを予測するのに有効であることがわかったのだ。「つまり、どの遺伝子が他の遺伝子よりも変異しやすいかを予測することができ、何が起こっているのかを知ることができるのだ」と、Weigel 博士は語っている。

今回の発見は、チャールズ・ダーウィンの自然淘汰による進化論に驚くべきひねりを加えるものである。なぜなら、植物は生存を確保するために遺伝子を突然変異から守るように進化してきたことが明らかになったからである。

「植物は、最も重要な場所を突然変異から守る方法を進化させてきたのだ」「この発見は、人間の遺伝子を突然変異から守る方法を考えるのにも使えるので、これはエキサイティングだ。」と、Weigel 博士は述べている。

将来の利用法

ゲノムのある領域がなぜ他の領域より多く変異するのかを知ることは、遺伝子の変異を利用してよりよい作物を開発する育種家の助けになるだろう。また、突然変異によって引き起こされる癌のような病気の予測や新しい治療法の開発にも利用できるかもしれない。

「今回の発見は、自然変異のパターンを駆動する力についてのより完全な説明をもたらし、進化における突然変異の役割に関する理論的・実践的研究の新たな道を開く刺激となるはずだ」と、同論文は結んでいる。

カリフォルニア大学デービス校の共著者には、植物科学科のDaniel Kliebenstein氏、Mariele Lensink氏、Marie Klein氏が含まれる。カーネギー科学研究所、スタンフォード大学、ウェストフィールド州立大学、モンペリエ大学、ウプサラ大学、チャールストン大学、サウスダコタ州立大学の研究者が研究に貢献した。

BioQuick News:Study Challenges Evolutionary Theory That DNA Mutations Are Random; Work Suggests Vital Areas of Genome Are Protected from Mutation

[News release] [Nature article]

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