東アジア特有のPAX4遺伝子変異が糖尿病リスクを高めるメカニズムを解明

東アジア特有のPAX4遺伝子変異が糖尿病リスクを高めるメカニズムを解明

東アジア人に特有のPAX4遺伝子変異が、どのようにして膵臓のβ細胞に影響を与え、糖尿病リスクを高めるのかが初めて明らかにされました。どのようなメカニズムが潜んでいるのでしょうか?

東アジア人に特有のPAX4遺伝子変異が、2型糖尿病(T2D)のリスクを最大1.8倍に高めることが以前に発見されました。この遺伝子変異が膵臓のβ細胞の発達と機能にどのように影響を与えるのかを初めて明らかにした研究が、Nature Communications誌に掲載されました。β細胞はインスリンを生成する重要な役割を果たしており、糖尿病患者の血糖値を調節し、深刻な合併症を防ぐために欠かせません。この研究から得られた知見は、糖尿病予防と管理における治療法の開発と個別化アプローチの可能性を示しており、糖尿病との戦いにおいて重要な一歩となります。公開された論文のタイトルは「PAX4 Loss of Function Increases Diabetes Risk by Altering Human Pancreatic Endocrine Cell Development(PAX4機能喪失はヒト膵内分泌細胞の発達を変化させて糖尿病リスクを高める)」です。

T2Dは500万人以上の東アジア人に影響を与える慢性的な代謝疾患です。シンガポールでは、東アジア系の人々が人口の約75%を占め、そのうち10%がPAX4 R192H遺伝子変異を持っており、これが糖尿病リスクを高めています。
この研究は、A*STAR分子細胞生物学研究所(IMCB)の上級主任科学者であるエイドリアン・テオ博士(Adrian Teo, PhD)を中心に、IMCB、シンガポール国立大学(NUS)、スタンフォード大学、オックスフォード大学、国立大学病院(NUH)、シンガポール総合病院(SGH)の研究者と臨床医が協力して行いました。

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Edited by Michael D. O'Neill

Michael D. O'Neill

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