がん細胞中の合成致死性遺伝子対判定のアルゴリズム
サイエンス出版部 発行書籍
この20年か30年ほどの間にバイオテクノロジーはめざましい発展を遂げてきたが、がん細胞には即効致死的で、健康な細胞には無害、かつがん再発防止にも効果があるというような理想的ながん治療法はまだ夢の段階でしかない。しかし、「合成致死性」の考えがこの分野の研究者には大きな希望を与えている。 2つの遺伝子の組み合わせのうち1つが抑制されても何も起きないが、2つが同時に不活性化されると細胞にとって致命的になる。この「合成致死性」が、個人に合わせたより効果的でしかも毒性の少ない治療法につながる可能性を秘めている。がんの中で特定の遺伝子が不活性であることが分かれば、それと合成致死性対をなす遺伝子を薬物を使って抑制すればそのがん細胞だけを殺し、健康な細胞にはほとんど害を及ぼさないということが可能になる。合成致死性を利用した療法は過去20年近く期待されてきたが、がんの中から実験的に合成致死性遺伝子対を見つけ出すことが困難であり、まだ実現していない。2014年8月28日付「Cell」誌に掲載された新しい研究論文は、この基礎的な障碍を克服し、がん中の合成致死性遺伝子対を判定するまったく新しい方法を提案しており、がん細胞を破壊する可能性も示唆している。 Tel Aviv University (TAU) の研究チームは、Beatson Institute for Cancer Research (Cancer Research UK)、Broad Institute of Harvard and MITの共同研究者らと協力し、合成致死性相互作用を判定する計算データ駆動型アルゴリズムを開発した。TAUのBlavatnik School of Computer Scienceと Sackler School of MedicineのDr. Eytan Ruppin、TAUのBlavatnik
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