世界的にがんの発生率が上昇していることはよく知られており、また、特定の人口集団や地理的位置で他よりもがんの発生率が高いらしいことも知られている。University of Cyrpus Medical Schoolの研究者、Konstantinos Voskarides, PhDは、「デンマークやノルウェーのように気温の非常に低い地域の人口は世界的にもがん発生率のもっとも高い地域の一つだ」と述べている。彼は、2017年12月5日付Molecular Biology and Evolutionオンライン版に掲載された新論文で新しい仮説を提出しており、それによると、寒冷地や高高地など極端な環境条件への適応とがん発生率上昇との間に進化論的な関係があるとしている。
Dr. Voskaridesは、「この研究結果で、極端な環境に有利な遺伝的変異体が同時にがんにかかりやすい原因になっているという証拠が示されている。低温や高高度などに耐性を持つ細胞がおそらく悪性化する確率も高くなるのだろう。このような効果は、ほとんどのがんは、子供も生まれてしまったくらいの年齢で発症するため、自然淘汰で取り除かれることはまずない」と述べている。この論文は、「Combination of 247 Genome-Wide Association Studies Reveals High Cancer Risk As a Result of Evolutionary Adaptation (247件のゲノムワイド関連研究を総合し、適応進化の結果としてのがんリスク増大を究明)」と題されている。
Dr. Voskaridesは、極地およびスカンジナビア気候地域や高地の低温の影響に的を絞り、特にがんリスクと地域の年平均気温との関係を調べた。その結果、極端な寒冷環境ががんリスクを押し上げていると結論した。その研究においては世界のがん発生率に関してもっとも正確かつ信頼できるデータ (GLOBOCAN-2012データベースは、国別やがん種別など様々な発生率/罹患率を解析することができる) を調べた他、247件のがんゲノムワイド関連解析研究の遺伝要因を精密に調べあげた。さらに、極端な寒冷地や極端な高高地に住む人口集団の文献上のがん発生や遺伝学的データも調べた。すると、特定のがんの発生率がもっとも寒い環境に住む人口集団の間でもっとも高いという明確な数字が浮かび上がってきた。そればかりでなく、186箇所の人口集団の分析から、環境温度が低いほどがん発生率が高くなるという直線的相関性も見られた。
「これらのデータは、これらの集団が、特に肺癌、乳癌および結腸直腸癌の癌発生率が極めて高いことを示している」とVoskarides博士は述べた。
遺伝的証拠も明らかであり、非常に有意であった。極端な環境条件下で生存するために集団に選択されている遺伝子はまた、癌の素因となる。
選択された遺伝子との最も高い癌関連は、ネイティブアメリカンおよびシベリアエスキモーのための結腸直腸癌、シベリアエスキモーのための食道癌および肺癌、オロミのための白血病(エチオピアの高地人口)および高所住居のための様々な癌アンデス - チベット人。
Voskarides博士は次のように述べています。「自然選択法により、これらの集団でがん率が上昇したという証拠が見つかりました。 「これは、癌リスクが高いことが、特定の環境条件における進化的適応の結果である可能性があるという証拠を提供する最初の研究である」と語った。
この研究のもう一つの発見は、自然選択は、癌遺伝子の代わりにそれらの集団における腫瘍サプレッサー遺伝子に対する作用を特に好むことである。これは、p53(癌で最も頻繁に変異した遺伝子)の突然変異が、動物が非常に高い高度で生き残るのを助けることを示した先の研究に一致している。
Voskarides博士は次のように述べています。「極端な環境 - 極度の癌リスクという概念の下で、集団が分離されたようです。
癌リスクに対する環境と遺伝のコンフルエンスを追求する科学者にとって、新しい研究は、がん疫学を推進する可能性のある主要な適応力のいくつかを探索するための新しい道を開くでしょう。
【BioQuick News:Much Increased Incidence of Certain Cancers Associated with Evolutionary Adaptation to Extreme Cold Environments, According to New Hypothesis Based on Extensive Data Analysis】



