無から生まれる「de novo遺伝子」の謎を解明!遺伝子制御の新たな地平を拓く

無から生まれる「de novo遺伝子」の謎を解明!遺伝子制御の新たな地平を拓く

私たちの体を形作る設計図、遺伝子。そのほとんどは、はるか昔から存在し、多くの生物種で共有されているものです。しかし、中にはつい最近、これまで何もコードしていなかったDNA領域から、まるで無から生まれるように出現した「新しい遺伝子」が存在することをご存知でしょうか?この「de novo(デノボ)遺伝子」と呼ばれる新参者の遺伝子が、どのようにして生命活動のネットワークに組み込まれ、機能し始めるのかは、進化生物学における大きな謎の一つでした。 この度、ロックフェラー大学の研究者たちが、約10年にわたるショウジョウバエの研究を通じて、この謎に満ちたde novo遺伝子の制御メカニズムを初めて解明しました。この画期的な発見は、生命の進化の謎を解き明かすだけでなく、がんなどの疾患研究にも新たな光を当てるものとして注目されています。 新しい遺伝子と、古くからの疑問 ほとんどの遺伝子は古代から存在し、種を超えて共有されています。しかし、遺伝子のごく一部は比較的新しく、かつては何も情報をコードしていなかったDNA領域から自然発生的に出現したものです。今回、ロックフェラー大学の研究者たちは、ショウジョウバエでこれらの遺伝子を約10年間追い続けた結果、これらのde novo遺伝子がどのように制御されているかを発見しました。『Nature Ecology & Evolution』誌と『PNAS』誌に掲載された2つの補完的な研究で、研究チームは転写因子とゲノム上の隣接遺伝子が、これらの新しい遺伝子のスイッチを入れ、細胞内のネットワークに統合する仕組みを明らかにしました。これは、その主要な制御因子を特定した初めての研究となります。これらの発見は、新しい遺伝子がどのように機能的になるかに光を当てるものであり、進化生物学や遺伝子制御、そしてそれらの機能不全から生じる疾患の理解に広

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Edited by Michael D. O'Neill

Michael D. O'Neill

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