遺伝性網膜疾患の新発見「UBAP1L遺伝子」が治療開発に道を拓く

遺伝性網膜疾患の新発見「UBAP1L遺伝子」が治療開発に道を拓く

サイエンス出版部 発行書籍

遺伝性網膜疾患に関連する新しい遺伝子「UBAP1L」の発見が治療開発の可能性を拓く 科学者らは、網膜の光を感知する組織に影響を与え、視力を脅かす「遺伝性網膜疾患(IRDs)」の一部を引き起こす新たな遺伝子を特定しました。この研究成果は、2024年9月26日にJAMA Ophthalmology誌に発表されました。論文タイトルは「Biallelic Loss-of-Function Variants in UBAP1L and Nonsyndromic Retinal Dystrophies(UBAP1L遺伝子の両アレル機能喪失変異と非症候性網膜ジストロフィー)」です。 新発見された遺伝子と疾患の詳細 6名の患者を対象とした小規模な研究で、研究者らはUBAP1L遺伝子が網膜ジストロフィーのさまざまな形態に関与していることを明らかにしました。この疾患には、中央視力(読書など)に重要な黄斑に影響を及ぼす「黄斑症」、色覚を司る円錐細胞が障害される「円錐ジストロフィー」、さらに夜間視力を担当する桿体細胞にも影響を与える「円錐桿体ジストロフィー」が含まれます。対象者は若年成人期から症状を発症し、晩年には重度の視力喪失に至るケースが確認されました。 遺伝子発見の意義 NIHの眼科遺伝学研究室長であり、論文の上席著者であるビン・グアン博士(Bin Guan, PhD)は次のように述べています。「今回の患者は、他の遺伝性網膜疾患に似た症状を示しましたが、その原因は特定されていませんでした。この遺伝子を特定したことで、疾患を引き起こす仕組みを研究し、治療法の開発を目指すことが可能になりました。」 UBAP1Lの関与が明らかになったことで、これまでに判明している280以上の疾患関連遺伝子のリストに新たな知見が加わりました。 NEIの眼科医であり、論文の共同上席著者であるラリッサ

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Edited by Michael D. O'Neill

Michael D. O'Neill

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