研究グループ、台湾ハブのゲノムのシーケンスとヘビ毒進化上の遺伝的浮動の役割を研究
サイエンス出版部 発行書籍
台湾や沖縄でハブと呼ばれるクサリヘビ科のヘビにかまれると一生障害が残ることもあり、場合によっては死に至ることもある。しかし、その毒に関しては依然として謎のままである。毒の組成は非常にばらつきがあり、同腹仔の間でさえ異なっていることがある。また、この毒素の混合物は何世代もかけて変化してきた。 2017年9月27日付Genome Biology and Evolutionのオンライン版に掲載されたこの研究論文は、ヘビ毒の進化の解明を進めている。この研究グループは、初めてハブのゲノム・シーケンスを解析し、タイワンハブ (Protobothrops mucrosquamatus) のゲノムを近縁種、サキシマハブ (Protobothrops elegans) のゲノムと比較した。この論文は、「Population Genomic Analysis of a Pitviper Reveals Microevolutionary Forces Underlying Venom Chemistry (ハブの集団ゲノム解析で、ハブ毒化学組成の小進化駆動力を解明)」と題されている。沖縄県庁の統計によれば、過去1年間に沖縄だけで50件をヘビ咬傷事故が起きており、世界保健機関 (WHO) によれば、世界全体では年間81,000人から138,000人がヘビに咬まれて亡くなっている。特に発展途上国や農村地域は毒蛇に出会うことも多く、一方で医療機関も少ないため、ヘビの咬傷は重大事になりやすい。そのような地域では効果的な抗毒素を開発することが住民の生死を分ける結果になる。この研究論文の首席著者で、Okinawa Institute of Science and Technology (沖縄科学技術大学院大学、OIST) のEcology and Evolution Unit (生態・進化学ユニット)
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