染色体は綯を形成する
サイエンス出版部 発行書籍
遺伝における分子的基盤となる染色体は、1882年にウォルター・フレミング博士に発見されて以来130年、謎に包まれたものである。今回、キュリー研究所のエジス・ハード博士(Ph.D.)およびマサチューセッツ大学医学学校(UMMS)のジョブ・デッカー博士(Ph.D.)率いる研究チームが行った研究は、染色体における新しい層を発見した。本研究は2012年4月11日付けのNature誌に掲載された。
研究チームは、染色体が幾数もの隣接した糸状にフォールドし、発達中は互いに協調的に働くことを示した。これらの糸は様々な遺伝子や調節エレメントを含む。染色体とは比較的大きな分子であり、広げてみれば人間の腕ほどの長さにもなる。しかし染色体はこのような大きさにも関わらず、数マイクロメートルでしかない細胞核に問題なく仕舞われているのである。さらに、各細胞核内には複数の染色体が存在する。例えばヒトでは23対の染色体が存在するのである。これら全てを小さな空間に仕舞い込むため、染色体はコンパクトにフォールドされ、核の3次元空間に混ぜ込まれている。それならば、染色体が核を埋める様はスパゲッティが皿を埋める様と同じなのだろうか?「そういうことでは無いのです。」と、ハード博士(キュリー研究所遺伝発達生物学研究室室長)の研究チームのエルフェージ・ノーラ氏(Ph.D.)は述べる。「染色体のフォールディングはあるパターンに基づいていて、このパターンこそが染色体の機能を保持するために重要なのです。」と、ノーラ氏は説明する。
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