ドイツのUniversity of Freiburg, Department of Microsystems Engineering (IMTEK), Laboratory of MEMS Applicationsの博士課程研究者、Friedrich Schulerらの研究チームは、DNAサンプルを何千という数の小液滴に分割する方法を開発した。何よりもこれまでの方法と異なるところは、制御しやすいこと、サンプルを短時間で1万個を超える直径約120ミクロンの液滴に分割できることが挙げられる。全工程がDVD大の回転するプラスチック円盤の上で進む。
研究チームは、この新しい検査法を、2015年4月23日付Lab on a Chip誌オンライン版に発表し、「Centrifugal Step Emulsification Applied for Absolute Quantification of Nucleic Acids by Digital Droplet RPA (recombinase polymerase amplification) (遠心ステップ乳濁化技術を適用したデジタル液滴リコンビナーゼポリメラーゼ増幅による核酸絶対定量)」と表題されている。
遠心力によって移動する液体は回転する円盤の溝を通り、油を満たした小部屋に流れる。溝の出口では、ぽたぽたと垂れる蛇口のように流れる液体が液滴に分割される。DNA検出の手がかりとなる生物反応が液滴中で起きる: 一つでもDNA分子があれば発光するので、分子をかなりの精度で数えることができる。この方法は、がん診断、産前診断、敗血症診断、HIV患者観察など様々な臨床現場で適用できる。
特に研究チームは、リコンビナーゼポリメラーゼ増幅という迅速な検出反応を液滴では初めて採用しており、これまで2時間以上かかっていた検査全体を30分以下まで短縮することができた。さらに、この新手法により、溝やチューブに残留物を残さず、サンプル液体全量を多数の液滴に分割することができた。そのため、コストを節約し、サンプルを調製するために必要な労力を削減することができる。
Schulerは、「すべての反応がこの円盤の上で自動的に進行するため使いやすく、様々な用途での応用に魅力的なシステムだ」と述べている。また、この円盤は安価な射出成形プラスチック製であり、使い捨てできることという診断器材の必須条件を満たしている。研究チームは、このメソッドが、迅速で優れた検査法として研究機関や病院のラボでも採用されるよう期待している。
Laboratory of MEMS Applicationsの長を務める教授、Dr. Roland Zengerleと、研究団体、Hahn-Schickardの合同研究グループ「Lab-on-a-Chip (ラボ・オン・チップ)」は、医療、栄養、人口統計学、生命科学の分野で分析診断作業の開発改善作業を進めている。Hahn-Schickardは、Freiburg Biotech Parkのプラントで、このようなラボ・オン・チップ・システムのプロトタイプやパイロット・シリーズを製造している。
画像はラボ・オン・チップ・システムの液滴形成の立体イラストレーション。円盤が回転するごとに水滴が溝の出口から移されている。一旦分割された液滴は、油膜に遮られて再び結合することはない。(Source: Hahn-Schickard)
原著へのリンクは英語版をご覧ください
DNA Sample Divided into Thousands of Tiny Droplets; Enables Diagnostics Based on Precise Counting of DNA Molecules; New Procedure Takes Under 30 Minutes


