Dr. David Baulcombeが率いるケンブリッジ大学の応用植物科学科とエディンバラ大学の生物科学の研究者らは、現在のSmall RNA解析法では、ヌクレオチドが18個から30個までのSmall RNAを検出するのには不十分であることを明らかにし、競合内因性RNA (ceRNA) の支配下にあると考えられるSmall RNAを検出する新しい解析法を採用した。この新研究論文は、Nucleic Acids Research (NAR) 誌から「画期的論文」に選ばれた。
この論文は2015年6月13日付オープン・アクセスNARオンライン版に掲載された「FDF-PAGE: A Powerful Technique Revealing Previously Undetected Small RNAs Sequestered by Complementary Transcripts (FDF-PAGE: 強力な実験手法でこれまで相補的な転写によって隠され、検出されなかったSmall RNAも検出可能に)」と題されており、FDF-PAGEとは、「fully denaturing formaldehyde-polyacrylamide gel electrophoresis (完全変性フォルムアルデヒド・ポリアクリルアミド・ゲル電気泳動法)」の頭文字である。
Small RNAシーケンシングは、細胞内の遺伝子発現調節の仕組みを研究する強力な方法であり、何百万という配列「読み取り」データを集め、何千という数の遺伝子のコントロールを解読する手がかりが得られる。ただし、データの質は、シーケンシングに用いられるRNAの質によって決まる。Dr. Baulcombeと同僚研究者は、一部のSmall RNAが雑種化し相補的配列を生じ、この結合のために検出が難しくなるのではないかという仮説を示した。この問題を克服するため、研究チームは、シーケンシング前のRNA調製プロトコールに対して、相補鎖分離手順を追加した。この方法は、細胞RNAのプロファイルをさらに確実かつ正確にすることが可能になり、Small RNAのシーケンシングに適用範囲が広がることと予想される。
この新研究の論文をチェックしたNARの査読者と編集者は、「この研究成果は、Small RNAを理解し、さらに間違った仮説を招きかねないバイアスを引き下げる重要な展開だ」と評している。ある査読者は、「この研究は新しい段階に入っている。これまでに集積したライブラリーや結論には鎖にバイアスがかかっており、間違いも多いだろう。しかも、この研究でプロトコールが改善された」と述べている。もう一人の査読者は、「明らかに、この研究でSmall RNAプールの定量化作業が改善されることになる」と述べている。
NAR Editorial BoardメンバーのSam Griffiths-Jonesは、「この研究成果はすでにceRNAの分野で大きな影響を持つことが考えられる。ceRNAにどれほどの意味があるのかについてはこれまでちょっとした議論になっており、この研究はその議論に貴重な一石を投じるものだ」と述べている。さらにNAR Editorial BoardメンバーのHaru Siomiは、「この研究論文は、現在のプロトコールの基本的な欠陥に対する解決策を提示しているだけに、Small RNA研究分野に大きな影響を与えるのではないか」と述べている。
NARが「画期的な論文」に選んだこの研究論文は、この分野で長年未解決だった問題を解消しており、あるいは研究分野に新しくはるかに進んだ視点と理解をもたらし、新しい研究への意欲をかき立て、かつその機会と方向を示すものとなるはず。また、NARが受け付けた論文の中でも最も優れた論文であり、著者の自薦、査読者の推薦を経て、さらに査読者および編集委員会メンバーの推薦に基づき、編集者によって選ばれた。
原著へのリンクは英語版をご覧ください
”Breakthrough Article” in Nucleic Acids Research: Powerful FDF-PAGE Technique Reveals Previously Undetected Small RNAs Hidden by Complementary Transcripts


