2015年6月17日付オープン・アクセス・ジャーナルPLOS ONEのオンライン版に掲載されたUniversity of California (UC), San Diego School of Medicineの研究によると、加工食品の風味、舌触り、保存性を改善するために一般に用いられている食品中のトランス脂肪酸 (dTFA) を大量に摂ると、45歳以下の男性の記憶機能減退をもたらす可能性がある。この研究論文は「A Fat to Forget: Trans Fat Consumption and Memory (記憶機能減退させる脂肪: トランス脂肪摂取と記憶)」の表題がつけられ、食事内容調査と単語記憶テストを受けた被験者男女1,018人のデータを分析評価した。

 その結果、45歳以下の男性は平均86語を記憶していたが、1日のトランス脂肪消費量が1g増えるごとに単語記憶能力が0.76語減少していた。言い替えれば、この研究でdTFA消費量がもっとも大きい若い男性は、トランス脂肪をまったく摂らないが、その他についてはまったく同じ条件の男性に比べて12語も単語記憶力が低いことになる。

筆頭著者で、UC San Diego School of Medicineの医学教授を務めるBeatrice A. Golomb, M.D., Ph.D.は、「トランス脂肪は、もっとも生産性の高い年齢の男性の記憶力減退と強い相関関係が見られた。これまでにもトランス脂肪摂取が、脳機能の柱である行動や気分に悪影響を及ぼすことが示されていたが、私達の知る限り、記憶力や認知機能との関係は示されたことがなかった」と述べている。

実験結果を、年齢、運動量、学歴、民族、情緒傾向などで調整した結果、45歳以下の男性全般にわたってdTFA消費量と記憶力減退との関係が見られた。この研究ではこの年齢層の女性被験者が少なかったため、主として男性を中心にしている。Dr. Golombは、「女性被験者の実験結果を加えても評価分析結果に変化がなかった」と述べている。また、45歳を超える年齢層ではdTFAと単語記憶との関連が見られなかった。そのことを、Dr. Golombは、「食事内容の効果は若年成人に顕著に現れる傾向があるからだろう」と述べている。



脳の損傷は加齢とともに増え、記憶力減退の度合いも人によって異なるようになるため、食べ物の効果が隠されてしまうこともある。トランス脂肪酸は、脂質状態、代謝機能、インスリン抵抗性、炎症、心臓や全身の健康への害が指摘されてきた。

2013年、アメリカ合衆国の食品医薬品局が、トランス脂肪は一般に安全な食品と見なされないという仮決定を発表した。Centers for Disease Control (疾病管理センター) によれば、アメリカではdTFA摂取量を減らすことで、年間10,000人から20,000人の心臓発作を予防し、3,000人から7,000人の冠状動脈性心臓病による死亡を防ぐことができる。

Dr. Golombは、「患者に忠告していることだが、トランス脂肪は食品の寿命を延ばすが、人間の寿命を縮めるものだ」と述べている。PLOS ONE掲載のこの論文は、UC San DiegoのDr. Alexis K. Buiが共同著者として名前を連ねている。

原著へのリンクは英語版をご覧ください:Higher Consumption of Dietary Trans Fats Linked to Worsened Memory Function in Males 45 and Younger; “Trans Fats Prolong Shelf Life of Food, But Reduce Shelf Life of People,” Author States

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