Deep Mutational Scanningで疾患遺伝子変異体の機能解析が更に発展
サイエンス出版部 発行書籍
遺伝子検査で単純明快な結果を求めている患者は、しばしば戸惑うような結果を受け取ることがある。「疾患関連遺伝子の変異体があると判定されたが、その重要度は不明」と知らされる患者はどうしていいか分からない。そのような変異体は疾患のリスクを高めるものかも知れないし、そうではないかも知れないというのである。2015年6月付Genetics誌に掲載された研究論文は、乳がんとの関連が知られている遺伝子、BRCA1の2000種近い変異体の特性を分析しており、疾患リスクの高い変異体と高くない変異体を判別する新しい手法の有効性を主張している。 この論文は、「Massively Parallel Functional Analysis of BRCA1 RING Domain Variants (BRCA1 RINGドメイン変異体の超並列機能解析)」と表題されている。遺伝子検査も総合的な多重遺伝子解析や全ゲノム・シーケンシング法が広く用いられるようになってきており、患者が、重要度不明の遺伝子変異体を持っていると知ることが増えている。たとえば、2014年の研究では、25種遺伝性がん遺伝子検査を受けた乳がん患者の42%で、スキャンした遺伝子の一つに重要度不明の変異体が見つかっている。 筆頭著者で、University of Washington所属のLea Starita, Ph.D.は、「このような検査結果を受け取っても患者は心配する以外に何もできない。私達の研究では、遺伝子変異体の能率的機能検査の技術をさらに発展させることで、このような不安を軽減することを願っている」と述べている。同研究チームは、他の疾患関連遺伝子に比べると、BRCA1の変異体の機能やシーケンスはかなり明らかになっていることから、研究のテスト・ケースとしてBRCA1遺伝子を用いた。通常、BRCA1は、DNA突然変異修復
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