遺伝的TNF欠乏が結核発症リスクを高める理由を解明した新研究
サイエンス出版部 発行書籍
結核は驚くほど複雑な感染症です。感染による死亡は世界の主要な感染症死亡原因ですが、Mycobacterium tuberculosis(Mtb)による感染全体の5%に満たないと推定されています。抗生物質の使用で一部の感染者は救われますが、感染者数と重症化する割合との間には依然として大きなギャップがあります。最近の研究により、このギャップの一因として結核に対する遺伝的な脆弱性が浮上しています。 ロックフェラー大学の研究者らが8月28日、Nature誌に発表した研究で、新たな遺伝子変異が結核を発症しやすくすることが確認されました。この変異は、驚くべきことに他の感染症には影響を与えません。論文タイトルは「Tuberculosis in Otherwise Healthy Adults with Inherited TNF Deficiency(遺伝的TNF欠乏を有する健康な成人における結核)」です。 TNFと結核の関係 炎症性サイトカインであるTNFの後天的な欠乏は、結核発症リスクの増加と関連しています。今回の研究で、ステファニー・ボワソン=デュピュイ博士(Stéphanie Boisson-Dupuis, PhD)とジャン=ローラン・カサノヴァ博士(Jean-Laurent Casanova, MD, PhD)は、TNF欠乏の遺伝的原因とそのメカニズムを明らかにしました。肺内の免疫プロセスがTNFの欠如によって機能しなくなることで、重篤な結核に陥ることが分かりました。 特異な発見 カサノヴァ博士の研究室は20年以上にわたり、結核の遺伝的原因を研究し、複数の国でフィールドワークを行ってきました。25,000人以上の患者の全エクソームシーケンスを用いたデータベースを構築し、その中の約2,000人は結核を発症しています。これまでに、CYBB遺伝子の変異など、
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