抗生物質の効力を高めるメープルシロップ抽出物

抗生物質の効力を高めるメープルシロップ抽出物

サイエンス出版部 発行書籍

抗生物質によって救われる命が日々ある中、その功罪併せ持つ特性こそが欠点となることもある。高用量では感染を引き起こす細菌とともに健康な細胞も破壊し、既知の抗生物質がもはや効果をもたない「スーパーバグ」を創り出すことになるからだ。しかし、抗生物質の効力を劇的に高めるメープルシロップ抽出物が発見されたことにより、抗生物質の使用量を自然に減らすことが可能になるかもしれない。 この研究は4月2日、第253回アメリカ外科学会議(ACS)の全国会議博覧会において発表された。世界最大の科学会であるACSは4月2日から6日までサンフランシスコにて年次総会を開催し、14,000件以上の多種多様なプレゼンテーションが行われた。「カナダの先住民は昔からメープルシロップを感染症の薬として使用してきました。私は常々、この民間療法がどのようなサイエンスに基づくのか興味を持っていたのです。」と、カナダのMcGill大学のNathalie Tufenkji博士は述べる。クランベリー抽出物の抗菌効果を研究していたTufenkji博士はフェノールメープルシロップ抽出物の抗がん効果を知り、本プロジェクトを始動した。「これをきっかけに、この物質の抗菌効果も調べる価値があると思い、研究員にメープルシロップを買いに走らせたのです。」研究チームは既存の抽出法を用いてシロップのフェノール化合物から砂糖と水を分離した。これこそがメープルシロップのあの黄金色の素である。 初期試験では病原菌の菌株をいくつか抽出物に暴露したが、効果はほとんど見られなかった。そこで Tufenkji博士は、この抽出物が一般的に使用されている抗生物質シプロフロキサシンとカルベニシリンの抗菌力を高める効果があるかどうかを確認することにした。そしてフェノール抽出物をこれらの薬のいずれかと混合した結果、実際に相乗効果を見出したのである。その効果は、最大

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Edited by Michael D. O'Neill

Michael D. O'Neill

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