ニコチンアミドリボシド・サプリメントの臨床試験で、NAD+の増加と抗老化効果を実証

ニコチンアミドリボシド・サプリメントの臨床試験で、NAD+の増加と抗老化効果を実証

最近発見された新しい形のビタミンB3、ニコチンアミドリボシド (NR) (写真) の初の比較臨床試験で、この化合物が人体に使用しても安全であり、さらに細胞エネルギー産生やストレス、DNA損傷に対する保護作用に重要な細胞代謝物質のレベルを高めることが明らかになった。マウスを使った研究でも、NAD+と呼ばれる細胞代謝物質のレベルを高めることには、体重増加に対する抵抗力をつけ、血糖値やコレステロール値をよくコントロールし、神経損傷を減らし、寿命を延ばすなどいくつも健康に有益な働きがあることが突き止められている。



NAD+のレベルは加齢と共に下がり、この代謝物質の欠失が加齢による健康の衰えに関係しているのではないかと言われている。動物を対象としたこの研究結果から、NAD+強化を目的とする市販のNRサプリメントを服用する人が増えた。しかし、このような市販サプリメントは、人体への効果を調べる臨床試験を受けていない。

2016年10月10日付のジャーナル、Nature Communicationsに掲載されたこの新研究は、University of Iowa Carver College of MedicineのProfessorで、Roy J. Carver Chair of Biochemistryを務めるCharles Brenner, Ph.D.が指導し、Queens University Belfast及び、試験に用いられたNRを提供したChromaDex Corp. (NASDAQ: CDXC) との協同作業で行われた。Dr. Brennerは、ChromaDexのコンサルタントを務めている。彼はまたTru NIAGEN(r) の商品名でNRサプリメントを販売するProHealthspanの共同設立者であり、今もChief Scientific Adviserを務めている。Nature Communicationsのオープン・アクセス論文として掲載されたこの論文は、「Nicotinamide Riboside Is Uniquely and Orally Bioavailable in Mice and Humans (ニコチンアミドリボシドはマウスにもヒトにも経口で生物学的に利用可能な独特な物質)」と題されている。


人間を対象にした試験は健康な男女各6人ずつを選んで行われた。試験参加者には1回につき100mg、300mg、1,000mgのNRを7日おきに異なる順序で経口投与した。毎回投与の後に血液、尿試料を採取し、Dr. Brennerの研究室で分析し、各種NAD+代謝物質を測定した。試験では、NRビタミンの投与量に正比例してNAD+代謝が増大することが示され、どの投与量でも重大な副作用は見られなかった。Dr. Brennerは、「この試験からNR経口投与で安全に人間のNAD+代謝を増大できることが示された。動物系で学んだことはいずれもNRの効力がNAD+の保存や増加に左右されること、また、代謝ストレスを受けている物質と関連することを示しており、非常に期待の持てる結果だ。マウスで健康効果が見られたサプリメント量は人間に適用することが可能であり、NRの健康増進作用は人間にもそのまま安全に置き換えられるようだ」と述べている。次のステップは、健康な成人のNAD+代謝に対するNRの長期的なサプリメントの効果を調べることだが、Dr. Brennerは、高いコレステロール値、肥満、糖尿病などの疾患や症状を持った人々、あるいは化学療法による末梢神経障害のリスクを負った人々についてもNRの効果を試験することも計画に入れている。

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Edited by Michael D. O'Neill

Michael D. O'Neill

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