人の脳で両親の遺伝子の発現に差があることが判明
サイエンス出版部 発行書籍
過去100年以上の間、人体の細胞は、おおむね生涯にわたってほぼ平等に両親の染色体の遺伝子を発現するものと思われていた。しかし、両親の特定遺伝子の活性を測定する検査法を発明した研究グループが、生命体というのはもう少し微妙なものだと研究論文で述べている。同研究グループは、2017年2月23日付Neuron誌に掲載された研究論文で、げっ歯類、サル、ヒトの脳で個別ニューロンまたは特定タイプのニューロンが片方の親の遺伝子を抑制することも珍しくないと報告している。 この論文は、「Diverse Non-genetic, Allele-Specific Expression Effects Shape Genetic Architecture at the Cellular Level in the Mammalian Brain (哺乳動物の脳において細胞レベルで遺伝的構造を形成する多様な非遺伝性対立遺伝子固有の発現の効果)」と題されている。驚いたことには、母親と父親の遺伝子コピーの活性化差異は、ほとんどの場合、発達中の脳に見られ、約85%の遺伝子がその影響を受けている。脳が成熟するにつれてニューロンは両親の遺伝子を平等に発現するようになる。しかし、成人の脳でも両親の遺伝子コピーの少なくとも10%で発現差異が見られ、脳のかなりの数の遺伝子が、その個体の生涯にわたってこのアンバランスを維持している。 この論文の首席著者であり、University of Utah School of Medicine所属の神経生物学者であり、New York Stem Cell FoundationのRobertson Investigatorの肩書きを持つDr. Christopher Greggは、「この話は、なぜ生物が有性生殖をするのかという理由に関わっている。有性生殖は、2組の遺伝子コピ
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