スクリプス研究所が腸の脂肪を燃やす脳ホルモン (FLP-7) を発見

2017
3月 22
(水)
13:00
脳科学のバイオニュース

スクリプス研究所が腸の脂肪を燃やす脳ホルモン (FLP-7) を発見

スクリプス研究所(The Scripps Research Institute) の生物学者グループがお腹の脂肪を燃やす引き金とみられる脳ホルモンを突き止めた。動物モデル研究での発見だが、将来の医薬開発にも役立つ可能性がある。2017年1月27日付Nature Communications誌オンライン版で発表されたこの研究論文の首席筆者を務めたスクリプス研究所の准教授、Supriya Srinivasan, Ph.D.は、「この研究は興味深い謎を解く基礎科学研究だ」と述べている。

オープンアクセスとして発表されたこの論文は、「A Tachykinin-Like Neuroendocrine Signalling Axis Couples Central Serotonin Action and Nutrient Sensing with Peripheral Lipid Metabolism (中枢セロトニン活動や栄養感知を末梢脂肪代謝と結合するタキキニン様神経内分泌物信号伝達軸索)」と題されている。過去の研究で神経伝達物質のセロトニンが脂肪減量効果があることは知られていた。しかし、その正確な機序を分かっていなかった。その疑問に答えるため、Dr. Srinivasanの研究グループは、生物学でよくモデル生物として利用されるC. elegansという線虫で研究した。この線虫は人間よりも単純な代謝系を持っているが、その脳では、人間の脳と同じ信号伝達分子が多数生成されるため、C. elegansでの研究結果は人間にも応用できると考えている研究者は多い。

まず、研究グループは、C. elegansの遺伝子を取り除き、脳セロトニンと脂肪燃焼の間の経路が切断できるかどうかを調べた。遺伝子を一つずつ順番に取り除いていけば脂肪燃焼を起こしている遺伝子が見つかると期待した。この消去法の結果、FLP-7 (「フリップ7」と発音) と呼ばれる神経ペプチド・ホルモンのコードを持つ遺伝子がその遺伝子だった。興味深いことに、タキキニンと呼ばれる、ほ乳類のFLP-7は80年前に同定されており、その時はブタの腸に垂らすと筋肉の収縮を引き起こすペプチドとして考えられていた。その当時、科学者はこの物質を脳と腸との連絡を受け持つホルモンと考えており、それ以来神経ペプチドと脂肪代謝を結びつける者はいなかった。

 

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