幹細胞エキソソームが網膜神経節細胞の生存を高める。緑内障治療にも応用可能か
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最近のラットを対象にした研究で、幹細胞から放出される特定の小胞 (Exosome:エキソソーム) が、眼球底部の感光組織、網膜の細胞を保護するらしいことが確かめられた。この研究論文は、2017年1月26日付Stem Cells Translational Medicineに掲載されており、アメリカで最大の失明の原因である緑内障の治療法への応用を示唆している。
この研究は、National Institutes of Health内のNational Eye Institute (NEI) の研究グループが実施し、論文は、「Bone Marrow-Derived Mesenchymal Stem Cells-Derived Exosomes Promote Survival of Retinal Ganglion Cells Through miRNA-Dependent Mechanisms (骨髄間葉系幹細胞由来のエキソソームが、miRNA依存メカニズムにより網膜神経節細胞の生存率を高める)」と題されている。
エキソソームは膜に包まれた小さな袋で、細胞内で形成され、細胞外に放出される。長年、エキソソームは細胞からの廃棄メカニズムの一部と考えられていたが、比較的最近になってエキソソームにはタンパク質、脂質、遺伝子調節RNAなどが含まれていることが明らかになった。いくつかの研究で、細胞から放出されたエキソソームが他の細胞の細胞膜と融合して取り込まれ、その細胞を刺激して新しいタンパク質を生成させることが突き止められた。さらには、エキソソームが細胞同士の相互作用を仲介したり、信号を伝達したりするなどの役割を持っていることも明らかになり、エキソソームの治療効果を探る研究が進められた。現在の研究では、NEIのポスドク研究員、Ben Mead, Ph.D.が、網膜細胞の一種で、眼から脳に視覚情報を送る視神経を形成する網膜神経節細胞に対する幹細胞エキソソームの役割を調べている。
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