失われた栄養吸収機能を取り戻す!遺伝子治療で短腸症候群に光明

失われた栄養吸収機能を取り戻す!遺伝子治療で短腸症候群に光明

サイエンス出版部 発行書籍

私たちの体の中にある「大腸」が、まるで「小腸」のように生まれ変わるかもしれない――そんな驚きの研究が発表されました。もしこれが実現すれば、手術で小腸の大部分を失い、栄養をうまく吸収できなくなる難病「短腸症候群」に苦しむ人々にとって、大きな希望の光となる可能性があります。ワイル・コーネル医科大学の研究チームが、たった一つの遺伝子を操作するという画期的なアプローチで、この難題に挑みました。単一の遺伝子の働きを止めることで、大腸の一部が、栄養を吸収する小腸のように機能するよう再プログラムされることが明らかになりました。ワイル・コーネル医科大学の研究者たちは、前臨床研究において、この技術が小腸の大部分を摘出した際に生じる栄養失調を回復させることを示しました。この実証の成功は、同様の戦略が短腸症候群の治療に利用できる可能性を示唆しています。 短腸症候群は、慢性的な炎症、癌、外傷、または先天性の疾患に対処するための手術後に小腸がほとんど残らない場合に発生しうる、生命を脅かす疾患です。小腸は消化器系における主要な栄養吸収器官であるのに対し、大腸(結腸)は主に水分を吸収するため、短腸症候群の患者は全ての栄養を静脈注射で摂取する必要がある場合もあります。 2025年4月3日に医学誌「Gastroenterology」に掲載された新しい研究で、研究者たちは短腸症候群の前臨床モデルにおいて、大腸の遺伝子SATB2を削除すると、上行結腸の細胞がそのアイデンティティを小腸様の細胞に変化させ、栄養吸収を回復させ、体重減少を逆転させることを示しました。この論文のタイトルは、「回腸の特性を持つように大腸を再構築し短腸症候群を治療する(Remodeling the Colon with Ileal Properties to Treat Short Bowel Syndrome)」です。 「私た

Life Science News from Around the Globe

Edited by Michael D. O'Neill

Michael D. O'Neill

バイオクイックニュースは、サイエンスライターとして30年以上の豊富な経験があるマイケルD. オニールによって発行されている独立系科学ニュースメディアです。世界中のバイオニュース(生命科学・医学研究の動向)をタイムリーにお届けします。バイオクイックニュースは、現在160カ国以上に読者がおり、2010年から6年連続で米国APEX Award for Publication Excellenceを受賞しました。
BioQuick is a trademark of Michael D. O'Neill

LinkedIn:Michael D. O'Neill