腎腫瘍からがん幹細胞を分離
サイエンス出版部 発行書籍
科学者グループは、小児の腎臓に発生するがんの一種、ウィルムス腫瘍の成長に関与するがん幹細胞を分離し、さらに分離したがん幹細胞を使って新しい治療法を試した。将来、この治療法は進行性がより強いタイプのウィルムス腫瘍治療に役立つようになるかも知れない。この研究結果が、2012年12月13日付オンラインのEMBO Molecular Medicineに掲載された。 イスラエルのPediatric Stem Cell Research Instituteの所長、Sheba Medical Centerとテル・アビブ大学Sackler School of Medicineの主任医師を務めるベンヤミン・デケル教授は、「これまでの研究では、幹細胞は大人の乳がん、膵がん、脳腫瘍などから分離されていた。しかし、これまで余り知られていなかったのは小児がんの幹細胞だ。がん幹細胞には腫瘍成長を開始し、維持し、さらに増殖させるために必要な遺伝子的機構がすべて備わっている。そのため、"がん始原細胞"と呼ばれることもある。そういうがん幹細胞であるからこそ、がんの進行の研究に非常に有用であるばかりでなく、様々なタイプのがんの成長と転移を阻止する新薬の研究開発や治療法の研究においても有用だ」と語り、さらに、「私たちの研究は、しばしば小児の腎臓で発生するある種の腫瘍から初めてがん幹細胞を分離することができた」と語っている。 ウィルムス腫瘍は、小児の腎臓の腫瘍としてはもっとも一般的なタイプで、初期のうちに手術で腫瘍を摘出し、化学療法を施せば、ほとんどの患者は順調に回復するが、再発して他の組織に転移することもあり、その場合には患者の健康へのリスクが大きくなる。また、化学療法は健康な細胞にも有害であり、小児がんの治療に使った場合、患者が大人になった時に二次がんの原因になる可能性がある。科学者は、抗がん剤が腫
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