パーキンソン病の進行を数学で予測?ネットワーク理論を応用した新たな診断・治療法の可能性

パーキンソン病の進行を数学で予測?ネットワーク理論を応用した新たな診断・治療法の可能性

サイエンス出版部 発行書籍

パーキンソン病の進行を数学的に表現——ネットワーク理論が示す新たな臨床応用の可能性 神経変性疾患であるパーキンソン病は、脳内の神経細胞ネットワークの異常として捉えることができます。そのため、このような疾患の研究においては、数学の一分野であるネットワーク理論の知見が有効と考えられています。今回、イタリア国立研究評議会(National Research Council of Italy)、ドイツ・ポツダム大学(University of Potsdam)、およびポツダム気候影響研究所(PIK)のマリア・マンノーネ博士(Maria Mannone, PhD)を中心とする欧州の物理学者およびエンジニアの研究チームが、健康な脳のネットワークをパーキンソン病の影響を受けた脳へと変換する数学的行列(マトリックス)を定義しました。 この研究成果は、2024年10月7日付で「The European Physical Journal (EPJ) Special Topics」に「A Brain-Network Operator for Modeling Disease: A First Data-Based Application for Parkinson’s Disease(疾患をモデル化する脳ネットワーク演算子:パーキンソン病に関する初のデータ応用)」というタイトルで発表されました。 数学が解き明かす脳のネットワーク変化 脳の機能は特定の領域に対応しており、それらの接続関係を非侵襲的にマッピングできるという概念は、歴史的に広く受け入れられてきました。この考え方は、機能的磁気共鳴画像法(fMRI)の基盤となっており、本研究ではfMRI画像を用いて数学的な行列を定義しました。 研究チームは理論物理学の手法を応用し、脳ネットワークを行列として表現しました。疾患の進行に伴

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Edited by Michael D. O'Neill

Michael D. O'Neill

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