細胞死を防ぐはずのタンパク質が逆に促進?アポトーシスの新たなメカニズムを解明

細胞死を防ぐはずのタンパク質が逆に促進?アポトーシスの新たなメカニズムを解明

サイエンス出版部 発行書籍

細胞死の二面性を解明—アポトーシス制御に関する新発見 MITの研究チームがC. elegansを用いた細胞死のメカニズムを解明。生物の発生から老化に至るまで、細胞死は生命の不可欠なプロセスです。特に、アポトーシスと呼ばれる細胞死の過程が適切に機能しなければ、細胞が過剰に増殖し、がんや自己免疫疾患のリスクが高まる可能性があります。しかし、アポトーシスが制御を誤り、必要な細胞が失われると、神経変性疾患などの深刻な病気を引き起こすこともあります。 MITのマクガヴァン脳研究所(McGovern Institute for Brain Research)の研究者らは、微小な線虫カエノラブディティス・エレガンス(C. elegans)を用いた研究により、細胞死を防ぐ役割を持つはずのタンパク質が、逆に細胞死を促進する仕組みを解明しました。この研究はロバート・ホーヴィッツ教授(Robert Horvitz, PhD)を中心とするチームによって行われ、2024年10月9日にScience Advances誌に発表されました。 論文タイトルは「The Pro-Apoptotic Function of the C. elegans BCL-2 Homolog CED-9 Requires Interaction with the APAF-1 Homolog CED-4(C. elegansにおけるBCL-2ホモログCED-9のアポトーシス促進機能はAPAF-1ホモログCED-4との相互作用を必要とする)」です。 アポトーシスのメカニズムを解明 研究を主導したホーヴィッツ教授は、C. elegansを用いたアポトーシスの遺伝的制御機構の解明で2002年にノーベル生理学・医学賞を受賞した科学者です。 人間を含む哺乳類では、アポトーシスを制御するタンパク質が数十種類存在し

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Edited by Michael D. O'Neill

Michael D. O'Neill

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