細胞内のイベントを長期記憶することができる自己組織化タンパク質による新手法が発明された
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細胞が日常的な機能を果たすとき、さまざまな遺伝子や細胞内経路がオンになる。このたびMITの技術者らは、これらのイベントの履歴を、光顕微鏡で画像化できる長いタンパク質鎖に書き込むよう、細胞を誘導した。この鎖を作るようにプログラムされた細胞は、特定の細胞事象をコード化するビルディングブロックを継続的に追加していった。
その後、秩序だったタンパク質鎖を蛍光分子で標識し、顕微鏡で読み取ると、イベントのタイミングを再構築することができた。この技術は、記憶の形成、薬物治療への反応、遺伝子発現などのプロセスの根底にあるステップを明らかにするのに役立つと考えられる。
MITのエドワード・ボイデン博士(Y. Eva Tan神経技術 教授、MIT生物工学・脳認知科学教授、ハワードヒューズ医学研究所研究員、MITマクガバン脳研究所およびコーク統合がん研究所)は、「臓器と体のスケールで、数時間から数週間にわたって起こる多くの変化があるが、これは、長期間追跡することができない」と述べている。
この研究者らは、この技術をより長い時間使えるように拡張できれば、老化や病気の進行などのプロセスの研究にも利用できるだろうと言う。
ボイデン博士は、2023年1月2日にNature Biotechnologyに掲載されたこの研究の筆頭著者だ。マクガバン研究所の元J. Douglas Tan博士研究員で、現在はミシガン大学の助教授であるチャンヤン・リンホウ博士は、この論文の主執筆者だ。
このオープンアクセス論文は「光学的に読み取り可能な自己組織化タンパク質鎖に沿った細胞生理学的歴史の記録(Recording of Cellular Physiological Histories Alongically Readable Self-Asembling Protein Chains)」と題されている。
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