アルツハイマー病治療の新ターゲットとして、メッセンジャーRNAの改変が有望

アルツハイマー病治療の新ターゲットとして、メッセンジャーRNAの改変が有望

サイエンス出版部 発行書籍

重要なメッセンジャーRNAのメチル化を減らすと、マクロファージの脳への移動が促進され、マウスモデルでアルツハイマー病の症状が改善することが、中国陝西省西安市の空軍医科大学のRui Zhang氏らによるオープンアクセス誌PLOS Biologyで2023年3月7日に発表された。この結果は、末梢性免疫細胞の脳への侵入経路の一つを明らかにしたもので、アルツハイマー病治療の新たなターゲットとなる可能性がある。この論文は「単球由来マクロファージにおけるm6Aメチル基転移酵素METTL3の欠損は、マウスのアルツハイマー病病態を改善させる(Loss of the m6A Methyltransferase METTL3 in Monocyte-Derived Macrophages Ameliorates Alzheimer's Disease Pathology in Mice)」と題されている。 アルツハイマー病の発症の引き金となるのは、脳内に蓄積されたタンパク質性の細胞外アミロイドベータ斑と推定されている。アミロイドベータが高濃度に蓄積されたマウスでは、ヒトのアルツハイマー病を彷彿とさせる神経変性や認知症状が見られることから、アミロイドベータの減少が新たな治療法開発の大きな目標となっている。 アミロイドベータを除去する経路の一つとして、血液由来のミエロイド細胞が脳内に移動し、マクロファージに成熟して、常在するミクログリアとともにアミロイドベータを消費することが考えられる。この移動は、複数の相互作用するプレーヤーによって制御される複雑な現象であるが、潜在的に重要なのは、骨髄細胞内のメッセンジャーRNAのメチル化である。 そこで著者らはまず、骨髄細胞におけるMETTL3の欠損が、アルツハイマー病モデルマウスの認知機能に何らかの影響を及ぼすかどうかを検討した。その結果、METT

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Edited by Michael D. O'Neill

Michael D. O'Neill

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