ヒゲクジラ類の聴覚の常識が覆る!ミンククジラが超音波領域を感知する可能性

ヒゲクジラ類の聴覚の常識が覆る!ミンククジラが超音波領域を感知する可能性

サイエンス出版部 発行書籍

ミンククジラの聴覚範囲を初めて直接測定——想定を超える高周波音を検知し、海洋騒音の影響を示唆 ミンククジラの聴覚範囲が、これまで考えられていたよりもはるかに広いことが明らかになりました。新たな研究によると、ミンククジラは最大90キロヘルツ(kHz)という高周波音を検知できることが判明しました。この発見は、これまで低周波音のみを聞き取れると考えられていたヒゲクジラ類の聴覚に関する認識を大きく覆すものです。研究結果は、2024年11月21日付で科学誌「Science」に「Direct Hearing Measurements in a Baleen Whale Suggest Ultrasonic Sensitivity(ヒゲクジラの直接聴覚測定が示す超音波感受性)」というタイトルで発表されました。 ヒゲクジラ類の聴覚と海洋騒音の影響 これまで、ヒゲクジラ類は低周波音に特化した聴覚を持つと考えられてきましたが、直接的な聴覚測定が行われたことはありませんでした。聴覚能力の推定は、鳴き声の周波数や耳の解剖学的構造、行動観察などの間接的な方法に依存しており、正確なデータが不足していました。 海洋生物に対する人為的騒音の影響は、ここ数十年にわたって研究されてきました。特に軍事ソナーや船舶のエンジン音によるクジラの座礁事故が問題視され、海洋哺乳類の聴覚保護基準の設定が求められてきました。しかし、ヒゲクジラ類の聴覚範囲は十分に理解されていなかったため、規制の対象から外されることが多く、その影響は過小評価されていました。 ミンククジラの聴覚測定方法と驚くべき結果 海洋騒音がヒゲクジラ類に与える影響をより深く理解するために、米国国立海洋哺乳類財団(National Marine Mammal Foundation)のドリアン・ハウザー博士(Dorian Hous

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Edited by Michael D. O'Neill

Michael D. O'Neill

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