ペンギンの羽の構造が効果的な防氷技術に。電線や風力タービン、さらには航空機の翼に付着する氷を化学薬品なしで除去する方法を開発。
サイエンス出版部 発行書籍
1998年の大氷害では、米国北部とカナダ南部で送電線や鉄塔に氷が付着し、多くの人が数日から数週間にわたり寒さと暗闇にさらされ、機能停止に陥った。風力タービン、電力タワー、ドローン、飛行機の翼など、氷の付着に対処するには、通常、時間とコストがかかり、多くのエネルギーを使用する技術や、さまざまな化学物質に頼る必要がある。しかし、カナダのマギル大学の研究者らは、自然界に目を向けることで、この問題に対処する有望な新しい方法を発見した。彼らは、南極の氷のように冷たい海を泳ぐジェンツーペンギンの羽からインスピレーションを得たという。「我々は当初、蓮の葉の性質を探った。蓮の葉は水分を排出することには優れているが、氷を排出することにはあまり効果がないことがわかった。」「ペンギンの羽の性質を調べ始めてから、水と氷の両方を排出できる自然界に存在する素材を発見した。」と、10年近く解決策を探し求めてきたアン・キエツィヒ博士は述べている。彼女は、マギル大学の化学工学の准教授であり、バイオミメティック表面工学研究所の所長でもある。 微細なワイヤーメッシュが羽毛の撥水・撥氷性能を再現 「我々は、レーザー加工されたワイヤーメッシュで、これらの複合効果を再現することができた。」と、キエツィヒ博士と一緒に研究した博士課程修了生で、新論文の共著者の一人であるマイケル・ウッド氏は説明している。2022年10月4日にACS Applied Material Interfaces誌のオンライン公開されたこの論文は「二重機能に基づく頑強な防氷表面──微細構造による氷の剥離とナノ構造による水の剥離の重ね合わせ(Robust Anti-Icing Surfaces Based on Dual Functionality─Microstructurally-Induced Ice Shedding with Super
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