初期軟体動物の驚くべき姿:5億年前の棘付き装甲ナメクジ「シシャニア・アクレアタ」の発見
サイエンス出版部 発行書籍
原始的な軟体動物の化石に見られる驚くべき発見—平らで装甲に覆われた殻のない姿。 新たに発見された化石種「シシャニア・アクレアタ(Shishania aculeata)」は、5000万年前に生息していた軟体動物が平らな装甲を持つ殻のないナメクジのような姿であったことを示しています。オックスフォード大学を含む研究チームによるこの発見は、2024年8月1日付の科学誌Scienceに「A Cambrian Spiny Stem Mollusk and the Deep Homology of Lophotrochozoan Scleritomes(カンブリア紀のトゲを持つ幹軟体動物とロフォトロコゾアの堅体の深部相同性)」と題して掲載されました。 新種「シシャニア・アクレアタ」とその特異な特徴 シシャニア・アクレアタ(Shishania aculeata)は、南中国の雲南省東部で発見された保存状態の良い化石から記載されました。この化石はおよそ5億1400万年前、地質時代の初期カンブリア紀に遡ります。シシャニアはわずか数センチメートルの大きさで、小さな円錐状の突起(スケレライト)で覆われており、これらは現在のカニや昆虫の殻に見られるキチンという物質でできていました。 化石が逆さまに保存された標本からは、シシャニアの腹面が裸で筋肉質の足を持ち、古代の海底を這い回っていたことが確認されました。現生の多くの軟体動物とは異なり、シシャニアには体を覆う殻が存在せず、これは軟体動物の進化の初期段階を示唆しています。 進化生物学と古生物学への貢献 オックスフォード大学地球科学部のルーク・パリー准教授(Luke Parry)は、「イカやカキといった異なる動物の共通祖先を明らかにすることは進化生物学と古生物学における大きな課題です。シシャニアは、軟体動物の進化史における希少な化石の窓を提
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