チンパンジーも音楽家?ドラミングのリズムから探る音楽の起源

音楽の起源は、人類の進化における大きな謎の一つです。言葉や道具のように、音楽がいつ、どのようにして私たちの祖先に芽生えたのか、多くの研究者がその答えを探し求めています。もし、そのヒントが私たちの最も近い親戚であるチンパンジーの行動に隠されているとしたら、どうでしょうか?最近、認知科学者と進化生物学者のチームが、チンパンジーの「ドラミング」に、まるで音楽のようなリズミカルなパターンがあることを発見しました。この研究は、音楽の進化の謎を解き明かす、新たな一歩となるかもしれません。 チンパンジーのドラミングに音楽のルーツを発見 認知科学者と進化生物学者の合同研究チームによる新しい研究で、チンパンジーが規則的な間隔を保ち、リズミカルにドラミングを行うことが明らかになりました。2024年5月9日にCell Press社の学術誌Current Biologyで発表されたこの研究成果は、ニシチンパンジーとヒガシチンパンジーという2つの異なる亜種が、それぞれ特徴的なリズムでドラミングを行うことを示しています。研究チームは、この発見が、人間の音楽性の基礎となる要素がチンパンジーと人間の共通の祖先に存在していた可能性を示唆するものだと述べています。このオープンアクセス論文は、「Chimpanzee Drumming Shows Rhythmicity and Subspecies Variation(チンパンジーのドラミングにおけるリズム性と亜種による変異)」と題されています。 「以前の研究から、ニシチンパンジーはヒガシチンパンジーよりも速く、より多くの回数ドラミングを行うだろうと予測していました」と、筆頭著者であるオーストリア、ウィーン大学のヴェスタ・エレウテリさん(Vesta Eleuteri)は語ります。「しかし、リズムにこれほど明確な違いがあることや、彼らのドラミングのリズム
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Edited by Michael D. O'Neill
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