ハダカデバネズミの長寿と超がん化耐性の謎が老化の整序化で解明できるかもしれない
サイエンス出版部 発行書籍
大きな出っ歯、シワだらけで毛が無い身体。こんなハダカデバネズミは「かわいい齧歯類」コンテストでとても勝てそうにない。しかし、ハダカデバネズミの寿命は齧歯類としては最長の30年という長寿であり、加齢性の疾患に驚くほどの耐性があるため、加齢とがんという謎を解くカギを与えてくれている。それこそが、University of Rochester のVera Gorbunova, PhD、Andrei Seluanov, PhDら生物学教授とポスドク研究員のYang Zhao, PhDのハダカデバネズミ研究の動機であり、2018年2月5日付PNASオンライン版に掲載された研究論文の筆頭著者、Dr. Zhaoは、「この齧歯類で、細胞老化と呼ばれる抗がんメカニズムが見られるだろうか? 見られるとすれば、そのメカニズムはマウスのような寿命の短い動物とどのように異なるのだろうか、ということを調べた」と述べている。 この論文は、「Naked Mole Rats Can Undergo Developmental, Oncogene-Induced and DNA Damage-Induced Cellular Senescence (発生学的な細胞老化、がん遺伝子やDNA損傷により誘導される細胞老化に耐えられるハダカデバネズミ)」と題されている。細胞老化とは、損傷を受けた細胞が無制限に分裂を続け、完全ながんにまで成長するのを防ぐ進化的適応の一つである。しかし、老化には望ましくない面もある。がんに成長するのを防ぐために細胞分裂を停止するというのは加齢を促進することでもある。過去の研究で、マウスの身体から細胞老化を受けた細胞を取り除くと、そのマウスは、老化細胞をそのままにして自然に老化したマウスと比べて、老化してもそれほど身体が弱らないということが突き止められている。そこで、研究者らは、細
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