ルイジアナ州立大学のマーク・バッザー博士が、研究員のジェリリン・ウォーカー博士と准教のミリアム・コンケル博士と共同で、現在のオランウータンがAluと呼ばれる1,600万年前の古代ジャンピング遺伝子のホストである事を解析した研究を発表した。この研究は、サイディエゴ動物学協会とシアトル・システムバイオロジー研究所との共同研究で、新しく公開型学術誌として出版されているMobile DNA誌の2012年4月30日号に発表された。
トランスポゾンのサイズは大変小さく、レトロウイルスが行なうのと同じような方法で自己複製する。分子の化石のようなもので、共有されるAlu 因子配列と箇所によって、共通祖先がわかる。しかしこれは不正確なプロセスであり、“ホスト”DNAのセグメントはAlu挿入位置で複写され、標的部位の複製として知られる“足跡”はAlu挿入位置の同定に利用される。「しかしながら、これらの因子のほんの小さな領域だけが新たな複製を行なう“ドライバー”として機能し、ほとんどは不活性であることが判っています。そしてヒトにおいては、違いを明らかにするのは大変困難であることが判っています。
何故ならヒトゲノムでは比較的新しいAluの挿入が沢山見受けられ、同時に、Aluの伝播を簡単に観測できる情報が欠けているので、どのデータも少しずつ違って来るからです。そういう訳で、Aluの“親”や“ソース”を見つける事が困難であり、何百種類もある筈の違いが同じに見えるのです。」と、生物化学科のボイド教授兼Dr.Mary Lou Applewhite Distinguished教授である、バッザー博士は語る。
ヒトや他の哺乳類の場合とは対照的に、オランウータンにおける比較的新しいAlu因子の動きは大変遅く、一握りのケースの比較で事足りる。この事こそ、バッザー研究室が以前に明らかにしネイチャー誌で議論された、オランウータンのゲノムに注目する要点なのだ。詳細はhttp://www.lsu.edu/ur/ocur/lsunews/MediaCenter/News/2011/01/item24139.html.
に記載されている。「現行の研究ではAluのソース或いは形成因子の探索を行なっています。オランウータンに特徴的な比較的新しいAlu挿入をターゲットにしています。いろんな意味でこれは重要な意義を持ちます。第一に、この研究はAlu因子のドライバーを同定した二つ目の研究をカバーするもので、このドライバーは何と、1,600万年もの古代の遺伝子なのです!」とウォーカー博士は語る。DNA配列を解析する事によって、各々の霊長類の100万個を超えるAlu因子が見つかっている。多くが種特異性を有しており、例えば、5,000個はヒト特異的だが、他の2,300個はチンパンジーにのみ見受けられるという具合だ。
それとは対照的に、オランウータン血統(スマトラ・オランウータンとボルネオ・オランウータン)では、特異的なAluは250個しか見られない。この研究で見つけられたAluがヒト、チンパンジー、ゴリラ、そしてオランウータンに共有されるのに十分古いものだとしても、最初の“ジャンピング”はオランウータンで発生したのだ。「第二に重要であるのは、この古代の“おせっかい焼き”が数百万年の時間をかけて幾つかの娘因子を創生し、比較的新しい娘因子(スマトラ・オランウータンのみに見受けられ、ボルネオ・オランウータンでは欠失している)が動いている状況が観察されて、自分自身で子孫たるAluコピーを作っているのです。」とコンケル博士は語る。
これはAluの伝播がオランウータン内で“目覚めた”新しい証拠と考えられる。Alu因子及びその動き回る機能の同定によって、Alu因子の進化と霊長類のゲノムに対する影響の更なる理解が進む。そして、このAlu因子の機能の理解により、人類を含む他の生物種におけるソース因子の探索が進み、ゲノムワイドな全体像の解明に繋がっていくのである。
■原著へのリンクは英語版をご覧ください: Orangutans Host Ancient Jumping Genes



