老化による慢性炎症は避けられる?キツネザルの研究が示すアンチエイジングの新常識

老化による慢性炎症は避けられる?キツネザルの研究が示すアンチエイジングの新常識

年を重ねるとともに体内で静かに進行する「慢性炎症」。これが心臓病やがんなど、さまざまな病気の引き金になることをご存知ですか? この「加齢性炎症(インフラメイジング)」は、人間にとって避けられない運命なのでしょうか。この長年の謎を解く鍵は、意外にも、遠い親戚である愛らしいキツネザルが握っていました。 この研究は、なぜ私たちが加齢に伴う疾患に苦しむのかについての手がかりを提供してくれます。 キツネザルは、ヒトの炎症と老化、いわゆる「加齢性炎症」について何を教えてくれるのでしょうか? それは、霊長類の生活史と老化の進化を研究するデューク大学の生物人類学者、エレイン・ゲバラ博士(Elaine Guevara, PhD)が解明しようとした問いです。ワオキツネザルとシファカキツネザルにおける加齢に伴う炎症に関する新たに発表された研究で、ゲバラ博士は、私たちがヒトにおけるインフラメイジングの不可避性について、考え直すべきかもしれないことを発見しました。多くの点で似ていながらも、ワオキツネザルとシファカキツネザルは生活ペースや寿命に違いがあり、有益な比較対象となります。キツネザルとヒトは同じ霊長類であり、数百万年前に生きていた共通の祖先を持つため、ヒトの進化について貴重な洞察を与えてくれます。ゲバラ博士によれば、彼女の発見は「驚くべきもの」でした。 「私たちの予測とは反対に、どちらの種も酸化ストレスのマーカーに加齢に伴う変化を示しませんでした。どちらのキツネザルも加齢に伴う炎症の変化を示さなかったのです。それどころか、私たちの予測に反して、ワオキツネザルは加齢とともに炎症がわずかに減少する傾向を示しました」とゲバラ博士は述べています。 この発見は、他の非ヒト霊長類に関する最近のいくつかの研究と一致しており、キツネザルがヒトで広く観察される「インフラメイジング」の現象を回避し

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Edited by Michael D. O'Neill

Michael D. O'Neill

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