ネアンデルタール人のDNAが原因?神経疾患「キアリ奇形」の起源に迫る最新研究
もし、現代人を悩ませるある病気の起源が、私たちの遠い祖先と、今はもう絶滅してしまった古代の親戚との出会いにまで遡るとしたら、どう思われるでしょうか。サイモンフレーザー大学(SFU)が主導した新しい研究は、ネアンデルタール人との異種交配が、今日、最大で100人に1人が罹患すると推定されるある神経学的疾患の起源である可能性を明らかにしました。 この研究は、2025年6月27日に「Evolution, Medicine, and Public Health」誌に掲載され、SFUの元博士研究員であるキンバリー・プロンプ氏(Kimberly Plomp)と、人類進化学カナダ研究チェアであり考古学部の教授であるマーク・コラード博士(Mark Collard, PhD)が主導しました。研究チームの発見は、深刻で時には命にかかわる神経疾患であるキアリ奇形1型が、数万年前に異種交配を通じてヒトの遺伝子プールに入り込んだネアンデルタール人の遺伝子に関連している可能性を示唆しています。このオープンアクセス論文のタイトルは、「A test of the Archaic Homo Introgression Hypothesis for the Chiari Malformation Type I(キアリ奇形1型に対する古代ヒトからの遺伝子移入仮説の検証)」です。 キアリ奇形1型は、後頭部の頭蓋骨が脳を適切に収容するには小さすぎる場合に発生し、脳の基部の一部が頭蓋骨から脊柱管にはみ出してしまいます。これにより、はみ出した脳の部分が圧迫され、頭痛、首の痛み、めまいなどの症状を引き起こし、重症の場合には脳のはみ出しが大きすぎると死に至ることもあります。 「他の科学分野と同様に、医学においても原因と結果の連鎖を明らかにすることは重要です。病状を引き起こす因果関係の連鎖をより明確にできれば、そ
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Edited by Michael D. O'Neill

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