アフリカ東部の砂漠地域に生息するハダカデバネズミは興味深い身体的特徴を有しており、それによって厳しい自然環境の中を長年に渡り生き抜いてきた。皮膚に痛覚を持たず新陳代謝率が低い為、酸素供給量が少ない地下で生息する事が出来る。英国ノーウイックのリバプール大学とゲノム解析センター(TGAC) の科学者グループが最初にハダカデバネズミの遺伝子情報を解析し、長寿と老化疾患へ耐性を有する理由を検討した。
彼らは遺伝子情報を調べる事によって、老化の原因から防護する機構、例えばDNAの修復機能や老化耐性に関わる遺伝子を明らかにしようとした。今日までハダカデバネズミにはガンが発見されていない。最近の研究では他のげっ歯類やヒトには観察されない抗腫瘍機能を細胞自体が有している事が分ってきている。リバプールの研究者グループは遺伝子データを解析して、保健科学分野におけるヒトの老化やガンの研究に応用できるようにしている。
リバプール大学総合生物学部のジョアン・ペドロ・マジェラス博士は「ハダカデバネズミは長年研究者を魅了してきたが、それが大変長命である事は数年前に私達が発見しました。通常の寿命がせいぜい4年であるマウスより若干大きなこの地下に生息するげっ歯類は、30年間健康に生きるのです。私達が老化の機構を研究するにあたって学ぶ所の多い大変興味深い実例です。私達が目指しているのはハダカデバネズミの遺伝子を解析して、疾患、とくにガンに対してどの水準の耐性を有するのかを調べ、そしてある種の動物や人間が何故他の動物に比べて病気になりやすいのかを明らかにする事です。この研究によってハダカデバネズミを慢性老人病に対する最初の耐性モデルとして確立したい」と語る。
TGACのバイオインフォマティックス部門長のマリオ・カッカーノ博士は「ハダカデバネズミの遺伝子解析には最新の技術を採用しました。その優れた解析機能によって参照配列の1次ドラフトシーケンスを数日で手に入れる事が出来ました。これは哺乳類特有の複雑で繰り返し配列を有するゲノム情報である事を考えれば画期的な成果です。」と説明する。
この研究によって4,000を超える動物種の詳細な生活史をオンラインデータベース化する事が出来る。それらは動物の詳細かつ完全な寿命の記録であり、平均寿命と最長寿命、体重、交配可能年齢、産子数、その他生活史の特徴等が詳細に記されている。種の違いによる加齢速度の違いを検討する事によって、老化の機構をより理解する示唆となるであろう。ハダカデバネズミの研究は、ロンドン大学クイーン・メアリー 、サン・アントニオのテキサス大学保健科学センター、ハーバード大学医学部、ブラウン大学、南カルフォルニア大学、ロンドン・キングスカレッジのグループによって行なわれている。
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