犬の胆嚢ムコセレ形成にCFTR機能不全が関与:ヒトCFへの新たな示唆
サイエンス出版部 発行書籍
犬の胆嚢疾患「胆嚢ムコセレ形成」とヒトの嚢胞性線維症(CF)の関連性が示唆される新たな研究結果。ノースカロライナ州立大学のジョディ・グーキン博士(Jody Gookin, PhD)らの研究により、犬の胆嚢疾患「胆嚢ムコセレ形成」がヒトの嚢胞性線維症(CF)に関連する遺伝子の不適切な発現によって引き起こされることが明らかになりました。この発見は、ヒトのCF患者や動物モデルにおけるCFの理解にも影響を与える可能性があります。 胆嚢ムコセレ形成とは? 胆嚢ムコセレ形成は、厚く脱水された粘液が胆嚢内に徐々に蓄積し、正常な胆嚢の機能を妨げる疾患です。最終的には胆嚢の閉塞や破裂を引き起こす可能性があり、主に純血種の犬に見られます。アメリカではシェットランド・シープドッグが、イギリスではボーダー・テリアが最も影響を受けやすいとされています。 CFと胆嚢ムコセレ形成の関連性 「この病気が見られ始めたのは20年前ほど前のことで、特定の犬種に限られていました」とグーキン博士は語ります。「私が興味を持ったのは、この胆嚢の見た目がCFの動物モデルと非常に似ていたことです。」ヒトのCFは、CFTR(cystic fibrosis transmembrane conductance regulator)と呼ばれる遺伝子の欠陥によって引き起こされます。この遺伝子は、塩化物と水を分泌するためのチャンネルを上皮細胞に形成する役割を果たし、細胞表面を潤滑して粘液を湿らせ、移動しやすくします。しかし、CF患者ではこのチャンネルが欠如しているため、粘液が脱水し、肺や腸を詰まらせるのです。しかし、ヒトでは胆嚢がこのように粘液で満たされることはありません。 遺伝子変異ではなく、CFTR機能不全が原因 「ヒト以外の種で自然発生するCFの記録はありませんが、CFTR遺伝子を欠損させた動物モデルでは、
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