自己免疫疾患の謎に迫る!免疫が「自分」と「敵」を見分ける仕組みとは?
私たちの体は、ウイルスや細菌が侵入すると「RNA」という物質を感知し、免疫システムが作動して攻撃を始めます。しかし、実は私たちの正常な細胞にもRNAは存在しています。それなのに、なぜ免疫システムは自身の細胞を攻撃しないのでしょうか?この長年の謎を解き明かす、驚くべき発見が報告されました。私たちの体には、自身のRNAを巧みに隠し、免疫の攻撃から守るための巧妙な「目印」があったのです。 コネチカット大学医学部のヴィジャイ・ラティナム博士(Vijay Rathinam, PhD)、ボストン小児病院のライアン・フリン医学博士(Ryan Flynn, MD)らの研究チームが、2025年8月6日付の科学雑誌『Nature』に発表した論文「RNA N-Glycosylation Enables Immune Evasion and Homeostatic Efferocytosis(RNAのN-グリコシル化は免疫回避と恒常性エフェロサイトーシスを可能にする)」でその詳細が報告されています。 リボ核酸は、ウイルス、細菌、動物など、すべての生命体にとって不可欠な高分子です。麻疹、インフルエンザ、SARS-CoV-2、狂犬病など多種多様なウイルスがRNAを持っているため、免疫システムは血中などでRNAを検知すると攻撃を開始します。しかし、私たちの細胞も表面にRNAを提示していることがあり、免疫細胞の目に触れているにもかかわらず、通常は無視されます。 「RNAを感染の兆候として認識することは、私たちの体のすべての細胞がRNAを持っているため、問題を引き起こす可能性があります」と、コネチカット大学医学部の免疫学者であるラティナム博士は述べています。問題は、私たちの免疫システムが、自身のRNAと危険な侵入者のRNAをどのように見分けているのか、ということです。 ボストン小児病院とスタンフ
Life Science News from Around the Globe
Edited by Michael D. O'Neill

バイオクイックニュースは、サイエンスライターとして30年以上の豊富な経験があるマイケルD. オニールによって発行されている独立系科学ニュースメディアです。世界中のバイオニュース(生命科学・医学研究の動向)をタイムリーにお届けします。バイオクイックニュースは、現在160カ国以上に読者がおり、2010年から6年連続で米国APEX Award for Publication Excellenceを受賞しました。
BioQuick is a trademark of Michael D. O'Neill





